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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年10月14日

2017年10月14日 18:22

終わりを認識し、時間を進めることの是非: 映画『君と100回目の恋』のリアリティ

リアルな時を感じることとは、死(人生の時間)を意識することなのかもしれません。

『君と100回目の恋』
制作国  日本
制作年  2017年
監督 月川翔
出演 miwa, 坂口健太郎

あらすじ
【大学生2年生の女子・葵海は、幼馴染の青年・陸と同じ大学に通い、ロック・バンドを組み、互いに異性として意識し合いながら、過ごしている。バンドのボーカルとして7月31日に開催された地元の音楽祭に出場した葵海は、歌詞も忘れてしまい失敗に終わる。放心状態で帰路に就くと、18時10分に交通事故に遭ってしまう。次の瞬間、目が覚めると葵海は、数日前の国語の講義に戻っている自分に気付き、翌日、7月26日になっていることが分かる。陸に話すと、陸は時間を戻せる「人生のレコード」があることについて説明する。子供の頃から陸は、その「レコード」を用いていたというのである。そして、今、陸は、7月31日18時10分の葵海の交通事故を避けるために、何度も時間を戻していることを話す。しかしながら、何回、時間を戻しても、葵海の死を避けることができない。次第に、陸は、そうであっても、死までの時間を繰り返すことで、陸は葵海と時間を共有したいと考える。しかし、葵海は、繰り返すでは意味がないと、陸に未来に生きて欲しいと人生レコードを壊してしまう。】

1993年の米国映画『恋はデジャ・ブ』(原題:Groundhog Day)を彷彿させる作品です。『恋はデジャ・ブ』では、主人公は好きな女性に振られ続け、嫌気が差して何度も自殺を試みます。

しかし、何度、死のうとしても翌朝には生き返ってしまうのです。そして、死ぬことを諦めて善き人として生きることを選択した時、何かが動き出します。

映画『君と100回目の恋』は反対に、恋人の死を防ごうと何度も(青年・陸が)試みるのですが、失敗します。

陸は、繰り返しの中の止まった時間の葵海を愛そうとしますが、事実を知った葵海はそれを拒絶し、タイムマシーン機能の「レコードを壊し」、時間的限定の中の「愛」を選択します。そして、繰り返した100回目の(最後の)誕生日を最後に、永遠に戻らぬ人になります。

両作品には、時間を進めるためにどうするかというテーマがあります。それは、映画『恋はデジャ・ブ』においては死を諦めることであり、映画『君と100回目の恋』では、(主人公の葵海が彼のために)死を選ぶことなのです。

ネタバレですが、葵海の葬式の後に、陸は葵海が作詞作曲した歌を受けとります。音楽は思い出を凝縮し、未来に伝える力はあるということなのかもしれません。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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