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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年9月28日 22:39

2017年 ネパール滞在記(9): 4日目 「生き神様」クマリの最後の仕事

神戸ユネスコ協会理事/日本経済大学ユネスコクラブ顧問として、9月1日~9月8日までネパールでボランティア活動に従事してきました。個人的には、ネパール地震後に訪問しており、2回目となりました。今回は、私1人ではなく、学生11名、神戸ユネスコ協会理事2名の合計13名の団体です。学生は日本に学ぶ留学生が中心となっており、国籍別としては日本(2名)、ネパール(4名)、ベトナム(3名)、中国(3名)、モンゴル(1名)の5カ国に跨る多国籍チームでした。

4日目は、インドラ・ジャートラーというお祭りと重なり、ネパール全体が休日のため観光となりました。

午後、学生たちとカトマンズ市内のダルバール広場に出かけました。広場では、同国初の女性大統領であるビドヤ・デビ・バンダリ大統領も参列し、式典が行われるということでした。

このインドラ・ジャートラーというお祭りは、(農業に必要な)雨を降らせる神「王インドラ神」を祀るイベントであり、お祭り開催中に雨が降ることが良いとされています。

するとどうでしょう。ダルバール広場に隣接するカフェでコーヒーを飲みながら、広場で開催されているお祭りを見下ろしていると、本当ににわか雨が降りだしてきました。おそらく、式典の音楽隊も、警備隊も、びしょびしょなのですが、皆、嬉しそうです。

IMG_3083.JPG
雨が降り撤退する音楽隊

そして、インドラ・ジャートラーの最大のハイライトは、(「クマリ」と呼ばれ)生き神様として人々から崇められる「少女」が山車に乗って登場した時にやってきました(クマリは1人ではなく、全国各地にいますが、カトマンズの「ロイヤル・クマリ」が最も有名であり、他はローカル・クマリと言われ、区別されています)。

IMG_3090.JPG
カトマンズの「ロイヤル・クマリ」の登場

このクマリについては、当ブログ2015年9月24日 ネパール滞在記(13):5日目「自分の娘が神様になったら嬉しいか?」にて記しましたが、クマリは密教女神ヴァジラ・デーヴィー、とヒンドゥー教の女神ドゥルガーが宿るとされる「生き神」なのです。ネーワール人という少数民族のなぜか仏教徒の女の子(3歳ぐらい)からしか選ばれないことになっており、初潮を迎えるまで神の務めを果たさなくてはなりません。

2年前にも(2015年9月24日付)書いた通り、親元から離され、「神」として生きる少女クマリは、本来、子供が持つべき権利が否定されていると内外から批判の声があります(地域によっては親と同居するケースもあるようです)。

しかしながら、私の大学のネパール人学生も含めて、多くの人々がカトマンズのクマリであるMatina Shakyaさんが登場すると夢中になって凝視し始めました。

カトマンズのクマリは、単なるクマリではなく、国の運命を占う予言者でもあり、大統領もひれ伏すような権威を持っています。国家的なシンボル故に、人権と言って、そう簡単に国もクマリを辞めさせるわけにはいかないのでしょう。

私は前回も偶然拝見しており、2回目でありましたが、やはり、感情的には前回同様、伝統的社会システムと一少女の人生の両方を考えると(彼女は神様になって嬉しいかもしれませんが)複雑な思いになりました。

帰国すると、Matina Shakyaに代わって新しいカトマンズのクマリに3歳のTrishna Shakyaさんが選出されたというニュースが入ってきました。

2回も拝見させて頂いた前クマリ・Matina Shakyaさんのご多幸をお祈りしたいと思います。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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