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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年9月27日 22:25

ジュリエットを「私」に返す旅: 映画『ジュリエットからの手紙』の逆説

結局は、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』が今日にも影響を及ぼす程、名作だったということかもしれませんが、同作成立前のヨーロッパと今日の繋がりを暗示しているようにも思えます。

『ジュリエットからの手紙』(原題  Letters to Juliet)
制作国  米国
制作年  2010年
監督  ゲイリー・ウィニック
出演  アマンダ・セイフライド, クリストファー・イーガン

あらすじ
【米国の雑誌の調査員ソフィは作家になりたいと夢見ている。そんな中、ソフィは婚約者ヴィクターと共にイタリアのヴェローナを訪れる。ヴィクターがイタリアでも仕事で忙しい中、ソフィはヴェローナの『ロミオとジュリエット』のジュリエットの生家と言われる場所に1人で出かけると、恋の悩みを綴ったジュリエット宛ての手紙が、世界中から毎日何十通も届いていた。ソフィは、その手紙に対し「ジュリエットの秘書」と呼ばれる女性たちが集めた手紙に返事を書いていることを知り、彼女も英語版そのスタッフとして短期間手伝うことになる。そして、そこで偶然、ソフィは50年前の手紙を発見する。その手紙は、イタリア人の青年ロレンツォと恋をした10代後半の英国人の女性が、両親からの反対に悩み「ジュリエット」に相談をしたものであった。ソフィが、その手紙に返事を書き、英国に送ると、英国から「50年経った」本人が孫の青年チャーリーと共にヴェローナに現れた。そして、ソフィは2人とロレンツォを探す旅に出る。】

当ブログ2016年3月5日付で言及しました映画『トスカーナの休日』(2003年米国)同様、この映画作品の中のイタリアは、米国人(英国人)の理想に満ちています。

米国人(英国人)が、母国で色々な問題があっても、アモーレの国・イタリアが問題を解決してくれるのです。

ただ、この作品は英国の作家シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を題材にしており、単純ではありません。

そもそも、ヨーロッパ各地の民間伝承やギリシアの古典物語には、『ロミオとジュリエット』的なストーリーが多く、シェイクスピアは16世紀のイタリアのヴェローナに所縁がありものをモチーフに『ロミオとジュリエット』を書き直しているのです。

各地でそれぞれのローカルな「私」の物語として繰り返し語られ、書き直されたこの物語は、シェイクスピアによって名作になり、また、その名作は、21世紀において、多くの「私」の心を掴んでいるのです。

その『ロミオとジュリエット』を「私」の物語に戻す旅が、この映画作品になっています。

映画作品の方は、悲劇ではなく、コメディであり、ハッピーエンドです。でも、映画は、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』と張り合っている訳ではないのです。それぞれの「私」の物語は、それでいいようにも思えます。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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