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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年7月29日 20:20

北朝鮮の弾道ミサイル発射が照らし出したこと

7月28日の23時半頃過ぎ(韓国軍によると23:41)、北朝鮮がミサイルを日本海に向けて発射しました(NHK News web, 7月29日 2時46分)。

防衛省によればミサイルは1発で、ICBM級(大陸間弾道ミサイル級)であり、午前0時28分26秒に北海道積丹半島の西およそ200キロ、奥尻島の北西およそ150キロの日本海の日本の排他的経済水域内(Exclusive Economic Zone)に落下したと推定されています(NHK News web, 7月29日 5時03分; 7月29日 6時14分)。

28日は日中、破棄したとしていたPKO部隊の日報を陸上自衛隊が保管していた問題で、稲田朋美防衛大臣が辞任致しました。大臣のみならず、陸上自衛隊トップの岡部俊哉陸幕長、防衛省の黒江哲郎事務次官も引責辞任しました。北朝鮮は、結果的に日本の防衛トップ3人が交代するという「隙」を狙ってミサイルと発射したことになります(ミサイルを発射するプロセスを考えれば、全くの偶然かもしれませんが)。

菅義偉官房長官は29日未明の記者会見において、稲田氏の防衛相辞任直後のタイミングだったことに関しては「安倍晋三首相は安全保障に一刻の空白もあってはならないとの思いから、岸田文雄外相に防衛相を兼務してもらった」と答えています(日本経済新聞, 7月29日, 2:06)。

政府としてはそう答えるしかないでしょうし、実際、問題がなかったのかもしれません。しかしながら、やはり、現場の3人の責任者が辞めた直後にミサイルが飛んできた時事は、国民の不安を煽るのも事実です。

もし、ミサイル発射を予期していたら昨日の辞任はなかったでしょう。つまり、日本政府が北朝鮮動向について分析し切れてしないことも露呈してしまったように見えるのです。

アンフェアな表現になるかもしれませんが、失礼ながら野党党首が辞めることと、防衛大臣、陸上自衛隊陸幕長、防衛省事務次官が同時に辞めることは重さが違うのです。

もちろん、ことの発端でありますPKO部隊の日報事件も、重要な問題です。しかし、北朝鮮がミサイルと発射するという有事と比較すれば、今、どちらがより優先すべき事項かは明らかです。他国からのミサイルは、直接的に国民の安全に係わるのです。

政治は、常に優先順位に基づいて選択決定しなければなりません。

そのような意味で、日本のガバナンスの弱点を北朝鮮のミサイルが照らし出してしまったようにも思えます。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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