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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年4月29日 17:48

なぜ、ホグワーツ魔法魔術学校は支持されたのか?:映画『ハリー・ポッターと賢者の石』で消費される「上流階級性」

ハリー・ポッターと言えば、ホグワーツ魔法魔術学校の世界です。

『ハリー・ポッターと賢者の石』
(原題Harry Potter and the Philosopher's Stone)
制作国  米国
制作年  2001年
監督  クリス・コロンバス
出演  ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン

あらすじ
【1992年、ロンドン。10歳のハリーは、赤子の頃に両親と死別し、叔母のダーズリー家に引き取れていたが、家族から厄介者扱いをされていた。ハリーが11歳を目前としたある日、ホグワーツ魔法魔術学校からハリー宛に入学許可証が届き、ダーズリーの家族の妨害に遭ったが、ホグワーツ魔法魔術学校の森番・ハグリッドが迎えに来て、家を出る。そして、ハグリッドは、ハリーの両親が高名な魔法使いであり、闇の魔法使いであるヴォルデモート卿によって殺害され、ハリーだけが奇跡的に生き残ったことを伝える。ロンドン・キングスクロス駅からホグワーツ魔法魔術学校への列車の中で、ハリーはホグワーツの同級生、ロンとハーマイオニーに出会う。3人の魔法学校生活が始まるが、直ぐに何者かが学校の秘宝である賢者の石を盗もうとしていることに気付き、阻止しようと試みる。】

2001年に映画化されたハリー・ポッター作品の第一弾です。

この世界中で大ヒットしたハリー・ポッターのシリーズは、よく指摘されている通り、寮生活を中心に英国の名門私学中等学校(パブリックスクール)の世界を幻想的に描き出しています。

この作品は、J・K・ローリングによって、スコットランドの首都エジンバラで書かれたのですが(ハリーは魔法学校に入るのに、ロンドン・キングスクロスからスコットランド方面行きのホグワーツ特急に乗ります)、エジンバラの名門私学のフェテス・カレッジがホグワーツ魔法魔術学校のモデルの一つと言われています。

原作を映像化すればよりビジュアル的に再現しなければなりません。結局、ホグワーツ魔法魔術学校のロケ地は、幾つかのパブリックスクール、英国を代表する高等教育機関オックスフォード大学でした(学生の頃、私がオックスフォード大学の図書館を訪れた際、偶然、同作品のロケをしていました)。

現実にパブリックスクールの世界は日常にあるのですが、パブリックスクールに通う学生の比率は全英国の学生の6.5%にしか過ぎなく、大多数の英国の子供たちにとっても、世界の子供たちにとっては無縁の世界なのです(Independent Schools Council, website "Research")。

しかしながら、ホグワーツ魔法魔術学校は世界中で大人気です。地元では2008年、スコットランドのベスト教育機関の人気投票で36位にランクインしてしまい話題になったほどです(The Scotsman, "Harry Potter's school outranks Loretto" 31 March 2008)。

どうして、パブリックスクールを原型としたホグワーツ魔法魔術学校がこんなに支持されるのでしょうか。映画にも描かれる通り、楽しいことばかりではなく、教育システムは厳格なのです。

私は、グローバリゼーションは世界を二極化させていると考えますが、同時にグローバリゼーションによって世界中の人の価値観は一元化されていると捉えています。ちょっと「上流階級的」で「伝統的」な魔法学校と魔法の世界は、そのような時代に(消費対象として)フィットしているのではないでしょうか。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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