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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年4月22日

2017年4月22日 23:59

不確実性と瀬戸際外交

北朝鮮と米国の関係が悪化しています。

北朝鮮の新たな挑発への抑止を狙うとして、米国海軍の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする空母打撃群と海上自衛隊の護衛艦2隻が日本海に向かっているそうです。

米国のドナルド・トランプ大統領が昨年の大統領選挙中に北朝鮮の有事に対して、米国がもはや「世界の警察」でいることはできない、「日本には自分達の手で身を守ってもらうしかない」(ANN News 2016年3月30日)とまで述べてから約1年後、米国政府は、シリアに空爆し、北朝鮮への武力行使も選択肢の一つであると言います。

それを肯定するか、否定するかは別として、トランプ大統領の外交政策は非常に「不確実」です。

一方、北朝鮮の最高指導者である金正恩氏の外交も「不確実」です(「不確実性の王朝に対する術は」産経ニュース、2013年4月25日)。

不確実な2人が駆け引きをしているのですから、予想は困難です。結局のところ、どこまで両者が不確実なのかを「読む」しかない状態なのではないでしょうか(常識的に思考すれば、武力衝突は避けようととするでしょう)。

北朝鮮政府は米軍の動きに対して、「日本列島沈没しても後悔するな」と威嚇し、いつもながらの瀬戸際外交を展開しています(NHK New Web, 2017年4月22日)。

それに対して、トランプ大統領もツイッターで「北朝鮮はケンカを売っている」と批判し(2017年4月12日)、4月17日の記者会見にて金正恩氏に対して「行儀良く振る舞いなさい」と注文をつけ、米国政府はシリア同様、軍事行動の可能性にも言及しています。

以前の米国大統領は、良くも悪くも北朝鮮の瀬戸際外交をまともには相手にしていなかったように見えました。北朝鮮の朝鮮中央テレビの女性アナウンサーが声高らかに米国を批判しても、同じ波長では返していなかったのです。

しかしながら、トランプ政権の米国は違うのです。瀬戸際外交に対して、瀬戸際外交で返してきます(ジョージ・W・ブッシュ大統領も厳しい言葉を使いましたが頻度が異なりましたし、不確実性は低かったように感じます)。

これに対して、北朝鮮側が対応しなければならなくなっているのです。もし、対応を間違えれば、戦争になりかねません。

国際政治はいつの間にか不確実な瀬戸際外交ブームになっているかのようです。どうしてなのでしょうか。

米国と北朝鮮の政治体制は異なります。ですから、単純に比較して共通点を抽出することはできませんが、外交エリートの国際政治が終焉しようとしているのかもしれません。

この現象は、米国と北朝鮮の関係に留まるのでしょうか。今後、世界各地で同じような政治現象が生じてくるように見えてきます。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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