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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年4月 8日 22:51

「Emoji」: 新しいグローバル・コミュニケーション・ツール

先月、スイスのジュネーブ市を訪れた際、買い物のために市内の生活協同組合(COOP)を訪れると、「EMOJI」(絵文字)フェアをしていました。

買い物の金額20フラン(約2,200円)毎に絵文字の消しゴムサイズの絵文字のフィギュア人形が貰えます。その人形を使ったゲームも販売されており、買い物袋もEmojiのワードが刻印されています。

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スイスだけではありません。日本発祥の絵文字は、米国のニューヨーク近代美術館に176種類が展示されています( "Look Who's Smiley Now: MoMA Acquires Original Emoji", The New York Times, 26 October 2016)。

オランダの航空会社KLMはEmojiとコラボして旅案内をしています(https://emoji-messenger.klm.com/)。

英国のBBCでも詳細に解説されています("The Rise of the Emoji", BBC, 23 March 2017)。英国での爆発的人気ぶりは、ロンドンの通訳・翻訳会社Today TranslationsがEmoji翻訳者を募集したことから窺い知れます("Emoji translator wanted - London firm seeks specialist", BBC, 12 December 2016)。

今、Emojiはグローバル・コミュニケーション・ツールであり、Emojiという言葉は、世界語なのです。

そして、重要なことは、何よりもグローバル・コミュニケーション・ツールでありながら、特定の言語を用いない点です。世界のどの国の人にとっても、Emojiへの距離は基本的に同じです(世界共通語とされる英語は、その使用において英語圏の人間が圧倒的に有利です)。

そもそも絵文字は、NTTドコモのiモードの開発チームの一員であった栗田穣崇氏の監修によって開発され、1999年に携帯電話に初めて導入して普及したものですが、この17年間に世界に広がりました(ロイター, 2016年 10月 27日; CINRA.NET, 2016年10月27日)。

瞬く間に世界化した絵文字ですが、地域性に限定されるケースもあります。例えば、以下のようなアラブ世界の絵文字は、非アラブ圏では理解できないのではないでしょうか( "Meet the new Arab emojis perking up Dubai's WhatsApp chats", 28 February 2017)。

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つまり、絵文字には世界共通語としての要素と、限られた地域のコミュニケーション・ツールとしての両方の役割があることになります。さながら、この点においては英語と他の言語との関係のようです。

Emojiについての研究は既に始まっていますが、近い将来、研究も更に深まり、Emoji Studies(絵文字学)にも発展してくのではないでしょうか。その「メッカ」が日本の大学であっても良いと思います。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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