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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年4月 3日

2017年4月 3日 00:33

(前)大統領が逮捕されるという構造は解消できるのか?

3月31日、韓国の検察は、韓国最大の財閥サムスングループから、日本円で43億円余りの賄賂を受け取った等の疑いで、朴槿恵・前大統領を逮捕しました。韓国の大統領経験者の逮捕は全斗煥氏、盧泰愚氏に次いで3人目となります。

その他、2009年には盧武鉉元大統領が、取り調べ対象となった結果自殺しており、捜査対象者として朴・前大統領は4人目です。その他、金泳三氏、金大中氏、李明博氏の元大統領は、親族が不正に資金を受け取った疑いなど逮捕されています。

朝鮮日報の金大中顧問は、「韓国の政治制度に疾病的な要因があるのではないかと思われる。どこかに致命的なDNAが韓国の権力構造に内在している」(The Huffington Post, 2017年3月30日)としていますが、これだけ続くと、確かに個人の問題から韓国の政界の「構造」の問題となってきます。

それでは、なぜ、韓国の大統領はお金の問題で逮捕されるのでしょうか(全員がお金で逮捕されている訳ではありませんが)。

その理由の一つとして韓国の大統領の大統領権限があまりにも強大であり、周囲までもが権力者となってしまうという説があります(時事.com, 2017年3月31日)。つまり、大統領自身が潔癖でも権力者の一員に加わった周囲が、大企業などと結びついてしまい、韓国の大統領は逃げられない「罠」に嵌っていく可能性が高いというのです。

朴大統領を含めこの数代の大統領は、過去数代の大統領の末路を重々知っており、にもかかわらず、この「構造」の罠から抜け出せず、逮捕されている事実は深刻であると考えます。私は朴大統領を擁護するつもりは毛頭ないのですが、誰だって国家の最高権力者にありながらこのような不名誉な形で逮捕されたくはないでしょう。

もし、上記の仮説通りで、「構造」の問題を解消しようとすると、大統領の権力を小さくするしかありません。

極端な例として挙げるならば、同じ大統領でも、国家よりも州(カントン)やカントンを構成する基礎自治体の力が強いスイスの場合は、大統領は1年の交代制です。大統領の権限は小さく、殆どシンボル的な存在であり、ボディガードがないことで知られています。例えば、ディディエ・ブルカルテール元大統領は在職期間(2014年1月1日 - 2014年12月31日)において、日常的に移動の際は1人で電車を利用していたと報道されています(swissinfo.ch, 2014年9月17日)。

人口約5,000万人のうち5分の1の約1,000万人が首都ソウルに住む韓国が、スイスと同じような「分権国家」になれるかどうは別として、もし、そうなったとしたら大統領が逮捕される「構造」が解消されても、大統領になりたい人も少なくなってしまうのかもしれません。

韓国の大統領選挙は来月9日に予定されています。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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