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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2016年11月

2016年11月29日 00:50

2016年カンボジア訪問記(6):4日目 未来を切り開くために「流れ」を止めてはいけない

昨年に引き続き、11月17日から11月23日まで神戸ユネスコ協会の理事の1人として、カンボジアのプノンペンとシャムリアップを訪問しました。同協会理事は5名、私が教える留学生6名(出身国はベトナム、中国、モンゴル)、合計11名の旅でした。

【4日目午前】
Tシャツ泥棒事件のため、寝不足の状態で4日目を迎えました。その日は、首都プノンペン市郊外にあります児童養護施設「夢ホーム」を訪問しました。

「夢ホーム」は、カンボジアの両親のいない(もしくは、両親がいても経済的な理由で子供を育てられない状況の)お子さんのために、日本の特定非営利活動法人「21世のカンボジアを支援する会」が2009年に設立した施設です。

神戸ユネスコ協会は2012年にカンボジアのコンポンチュナン州ロミアス村に小学校を建設したのですが、その際、「21世のカンボジアを支援する会」にお世話になったことから「夢ホーム」との交流も始まりました。

昨年も私たちは訪問していることもあり、昨日のコンポンチュナン州ソカーオン小学校より身構えずに伺えました。

私たちを代表して中国山西省出身の神戸ユネスコ協会青年部会員で私のゼミ生のOさんが日本語で挨拶しました。

正直、期待しないで聞いていると、「水の流れも止まってしまえば腐ってしまうといいます。だから、国家も学生も、毎日、続けて頑張らなければ、ダメになってしまうのです。私も頑張ります。皆さんも、毎日、頑張って未来を開いていきましょう」と松下幸之助の言葉を応用して語り、ちょっと驚いてしまいました。

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その後、「ホーム」の子供たちとサッカーをしたり、折り紙をしたりして楽しい時間を過ごしました。

一見、「夢ホーム」の子供たちは明るく、ロミアス村やソカーオン村の小学生よりも恵まれているように感じるのですが、神戸ユネスコ協会の加藤会長は「彼らは大きな心の傷を負っているんですよ」、「その傷を癒すのには時間がかかります」と説明されていました。時間との勝負かもしれません。

Oさんの言う通り、「川の流れ」は止めてはいけません。しかし、「21世のカンボジアを支援する会」の幹部も高齢の方が多く、日本も自国のことで精一杯になっており、持続的にカンボジアを支援できるのだろうかと不安になったのも事実です。

経済成長著しいカンボジアは、早く自分たちで自国民の支援ができるようにしなければいけないでしょう。そのお手伝いとして、日本や諸外国の民間や公的機関が支援するというならば、それは大いに肯定されるでしょう。

「夢ホーム」の後、私たちは6時間かけてプノンペンからシャムリアップに車で移動しました。

移動中、私は、自分がカンボジアで何ができるのか。そして、私自身、日々の「流れ」を継続させる努力をし、結果を出しているのか、問わざるを得ませんでした。

2016年11月28日 00:01

2016年カンボジア訪問記(5):3日目夜 「象」のTシャツを盗み、ケーキパンを食べる「熊」のような泥棒

昨年に引き続き、11月17日から11月23日まで神戸ユネスコ協会の理事の1人として、カンボジアのプノンペンとシャムリアップを訪問しました。同協会理事は5名、私が教える留学生6名(出身国はベトナム、中国、モンゴル)、合計11名の旅でした。

【3日目夜】
3日目の夜、12時を回り、そろそろ休もうとしたところ、中国からの女子留学生のMさんから私の部屋に電話がかかってきました。

「先生、今、ホテルに帰ってきたんですけど、大変、泥棒です。早く来てください。」
「分った。直ぐ行くよ」と答え、とりあえず、フロントに電話しました。

ホテル従業員も同行して、Mさんとモンゴルからの留学生のEさんがシェアする部屋を訪れますと、興奮するMさんは、私たちの顔を観ると中国語で説明を始めました。

私は日本語、ホテル従業員はカンボジア語、ルームメイトのMさんはモンゴル語が母語で、全員の共通言語がないため意味不明でした。彼女に日本語で説明して貰い、私が英語に従業員に訳すしか、その逆しか会話の方法がないのです。

落ち着いたところで、私が「日本語か英語でお願いします」と頼みますと、我に返り日本語で説明し始めました。

彼女の説明によると、夜、ホテルの部屋に戻ったところ、前日、市内のマーケットで、2ドルで購入した「象」の絵が描いてあるTシャツがない、それから、日本のコンビニで買ってきた120円のケーキ型のパンがないというのです。

そして、清掃した後で綺麗なはずのベッドの上には「熊」のような足跡(汚れ)があったというのです。

被害総額は約3ドルとなります。

「象」のTシャツを盗んで、日本製ケーキパンを食べて帰る「熊」のような泥棒というのは、どうしても笑ってしまうのですが、本人はいたって本気なのです。

ホテルの従業員の方は、明日、調べるということで退却しましたが、Mさんは怖くて眠れないと言うのです。別の部屋の女子学生たちも集まり、一部は白いパックをした顔のまま「泥棒」は誰だと、1時間ほど白熱した議論した後、疲れ切ったこともあり、それぞれの部屋で休むことになりました。

「泥棒」が誰だったのか、結局、プノンペン滞在中には分かりませんでした。

Mさんは、化粧品や日本の服を沢山持ってきていました。しかし、その「泥棒」は、良いモノを盗まず、2ドルの「象」のTシャツを盗っていったのはなぜでしょうか。

同行していた別の学生が、「泥棒は化粧品などの価値が分らなかったのではないでしょうか」と言っていたことが心に残りました。

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盗まれたTシャツと同じもの 
Mさんは色違いを2着購入しており、そのうち1着が
なくなっていた

2016年11月27日 22:29

2016年カンボジア訪問記(4):3日目午後 観光地としての「イオンモール」

昨年に引き続き、11月17日から11月23日まで神戸ユネスコ協会の理事の1人として、カンボジアのプノンペンとシャムリアップを訪問しました。同協会理事は5名、私が教える留学生6名(出身国はベトナム、中国、モンゴル)、合計11名の旅でした。

【3日目午後】
3日目の午後、コンポンチュナン州ソカーオン小学校からプノンペンに戻ってから私たちは滞在先のホテルから車で10分ほどのイオンモールに出かけました。

昨年の訪問時にも当ブログ(2015年12月 2日付)で記しましたが、イオンモールは、日本のスーパーであるイオンとその他200弱の専門店によって構成されているカンボジア一のショッピングセンターです。

2014年6月にオープンから1年の間に約1500万人が来たと言われており、現在、イオンは、プノンペンで2018年夏オープンを目指してイオンモール2号店を建設中です(流通ニュース、2015年8月7日)。

クリスマスの飾りつけがあり、カンボジアというよりも多国籍化、無国籍化しているような感じですが、敢えて喩えるならば、デパート全盛時代の「昭和の日本」と言ったところでしょうか。

イオンモールの値段は総じて高いです。日本と同じような価格か、より高いモノもあります。しかし、その日も多くの人が訪れていました。

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今回は通訳のピーさんと一緒だったのですが、彼は「ここは、お客は多いけど、観光に来ているだけで、実際に買う人は多くないんですよ」と説明してくれました。でも、1年間で1,500万人を動員できるだけでも、観光施設としても凄いものがあります。

2016年におけるカンボジアの総人口は1,600万人(CIA World Factbook)であり、1人が1年に1回、イオンモールに行ったことになりますが、おそらく、そうではないでしょう。私たちが支援している貧困地域の小学校の子供たちは、イオンモールに行ったことはないでしょうし、行っても良く知らないモノばかりであると思います。

おそらく、1,500万人という数字は、少なくても「観光」できる程のお金持ちの100万人が15回、もしくは50万人が30回行っているのではないでしょうか。

昨年は、「イオンモールがカンボジア人のライフスタイルを変える」というタイトルで書きましたが、ライフスタイルは変わるのは一部の人だけかもしれません。

約10ドルの夕食をとりながら、イオンモールもカンボジアの一面であり、貧困地域とイオンモールを同日に見られまして、今年も大変勉強になりました。

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2016年11月26日 01:14

2016年カンボジア訪問記(3):3日目午前 「女の子しかいない教室」

昨年に引き続き、11月17日から11月23日まで神戸ユネスコ協会の理事の1人として、カンボジアのプノンペンとシャムリアップを訪問しました。同協会理事5名、私が教える留学生6名(出身国はベトナム、中国、モンゴル)、合計11名の旅でした。

【3日目午前】
朝、6時に起床。昨日訪れたコンポンチュナン州ロミアス村から更に30キロ奥のソカーオン小学校を訪れました。

この地は、神戸ユネスコ協会の支援候補地でしたが、宮城県の篤志家の方が小学校を建設することになり、当協会は、昨日、訪れたロミアス村に学校を建設しました。

ソカーオン小学校の地域のほうがより貧困であり、神戸ユネスコ協会の加藤会長が同小学校も応援したいということで、秋田ライオンズクラブからご支援を頂き、今回、訪れることになりました。

プノンペンから4時間程、車に揺れ、赤土の道を通り過ぎるとその小学校がありました。村というよりも、何もないところに学校があるように見えました。

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旧校舎(新校舎が建設される前はこの建物だけしかなかった)

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整列して歓迎してくれる子供たち

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彼らの眼差しには、こちらが引き込まれていきます

50名程の子供たちが整列して、私たちを歓迎してくれました。

前日のロミアス村の「神戸ユネスコ小学校」は、私たちも何度も足を運んでおり、子供たちも、先生も顔馴染です。言葉は通じないのですが、会っただけで、お互いに笑みがこぼれる関係です。しかし、ソカーオン小学校は子供たちも外国人に慣れてはいないように見られました。

裸足の子供も多く、貧しさが可視化されていました。

何よりもこの小学校は女の子ばかりなのです。それも高学年になれば成る程、女子率が高まります。

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教室は女の子ばかり(中央は、私のゼミ生のOさん)

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低学年のクラスには男の子もいた

30歳の若い校長先生に伺ったところ、今、稲刈りの時期なので男の子は家の手伝いをしていると話していました。

カンボジアは、もちろん、小学校は義務教育です。しかしながら、貧困さ故にまだ小学校に通えない子供たちが少なくないのです。

私たちは、秋田ライオンズクラブから託されたノートや鉛筆などの文具や遊び道具をプレゼントに持っていきました。もちろん、物を持ってだけではなく、折り紙をしたり、ゲームをしたり時間を共有することを第一と考えました。

そんなことをして何になると考える方もおられるかもしれませんが、学校に行くと得する、楽しいことがあるという印象を子供たちに、そして親御さんにも与えることが重要であるように思えるのです。

しかしながら、女の子ばかりの教室で、特に親の価値観をどのように変えられるのか、という難題に直面したのも事実です。

厳しい環境の中、この小学校にも希望があります。30歳の若い校長先生です。高校を卒業して、教師養成学校を出た校長は、非常に考え方が新しく、この学校が飛躍的に発展する可能性があるように感じました。

3日目は、大きな宿題を背負いプノンペンに戻りました。

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高等教育を受けている30歳の校長先生

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教室の外に牛がいた

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ソカーオン小学校の皆さんと新校舎の前で

2016年11月25日 21:51

2016年カンボジア訪問記(2):2日目「給食の味は?」

昨年に引き続き、11月17日から11月23日まで神戸ユネスコ協会の理事の1人として、カンボジアのプノンペンとシャムリアップを訪問しました。同協会理事は5名、私が教える留学生6名(出身国はベトナム、中国、モンゴル)、合計11名の旅でした。

【2日目】
朝、6時に起床。2012年に神戸ユネスコ協会がコンポンチュナン州ロミアス村に建設したストイックアイトロミア小学校(通称「神戸ユネスコ小学校」)へ出発しました。

私は、皆と別れ、昨日、関西空港でチェックインの際にパスポートを忘れた女子学生Mさんが1日遅れでプノンペンに到着し、彼女をピックアップして、別の車でロミアス村に向かいました。約3時間、車を飛ばし、ストイックアイトロミア小学校に到着しました。

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Mさん、1人で大阪からプノンペンに来ました

今回、私たちはとても小さな「図書館」を寄贈しました。とってもとっても小さいお部屋のような図書館ですが、大人気でした。慣れない部屋で泣き出す村子供もいましたが、普段図書館など滅多に利用しない私の学生たちが我が物顔でケアをしていました。

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ストイックアイトロミア小学校 左 図書館 右 校舎

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図書館の中

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泣いている子を慰めるモンゴル出身のEさん

私のゼミに所属する中国出身の学生が『妖怪ウォッチ』の漫画を校長先生にプレゼントしましたが、カンボジア人の通訳者ピーさんは訳すのに戸惑っていました。子供たちが、この漫画を読めるようになるには、時間がかかりそうです。

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漫画『妖怪ウォッチ』を校長先生に手渡す中国出身のYさん

「なぜ、日本に留学してきた彼らが、カンボジアを援助しなければならなのか」、神戸ユネスコ協会が縁であったと言えばそれまでですが、真っ当な答えとしては、「援助」そのものではなく、大学生たちの「援助」を通じた「学び」にこそ意義があるように思えてなりません。

彼らは大学キャンパスの何倍も笑い、同時にとても大人に見えました。

図書館だけではなく、今回はもう一つの試みがありました。それは「給食」です。焼肉「六甲」さんの協力で、同小学校の子供たちに「牛丼」の1日給食を実施しました。

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食べ物がない訳ではないのです。私たちは日本型の皆で一緒に食べる「給食」がしたかったのです。

結果は、大喜びで食べる子、なかなか「箸」(スプーン)が進まない子、様々でした。やっぱり、口に合わないのかなぁと思っていたのですが、通訳の方が、「家に持って帰って自分の家族に食べさせたい」という子供がいると話しているのを聞いて、考えるところがありました。

楽しい時間は直ぐに終わり、お別れになりました。自転車で帰る上級生、お母さんのバイクに乗ってかえる下級生、BGMに『夕焼け小焼け』を流したいところです。

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小学校を前にして。お母さん、3人を乗せて帰ります。

私がこの小学校を訪れたのは2回目ですが、もう10回近く通われている神戸ユネスコ協会の加藤会長がおっしゃるには、最初は何もないところだったのに随分開けてきたということです。数年前まで、バイクどころか自転車も殆ど見なかったそうです。

私たちは夢見心地でプノンペンに戻りました。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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