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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2016年2月27日 03:41

究極の「白馬の王子様」物語:映画『マイ・インターン』でデ・ニーロが魅せる父性原理

究極の「白馬の王子様」の物語を観たような気分になりました。

『マイ・インターン』(原題 The Intern)
制作国  米国
制作年  2015年
監督  ナンシー・マイヤーズ
出演  ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ

あらすじ
【退職後、妻に先立たれ、暇を持て余していた70歳のベンは、近所のスーパーで、新興のファッションサイト会社の「シニア・インターン」募集広告を見つける。新しいチャレンジと応募すると、採用されてしまう。ベンは、電話帳製作会社に40年勤続し、部長まで務めたオールドファッション型のビジネスマンであったが、それ故に、1年半ほどの歴史しかない会社の弱点を埋める役割を担うことになる。30歳を過ぎたばかりの女性社長ジュールズ付になったベンは、「仕事」に生き甲斐を再発見する。社長・ジェールズは、優しい夫、子供、家、自分の会社と全てを手に入れているかに見えたが、次々に人生の危機の連続に直面し、その度に「インターン」であるベンが問題を解決していく。】

この映画はコメディですが、なかなか奥深いものがあります。

70歳のロバート・デ・ニーロ演じるベンは、ある意味で究極の「白馬の王子様」役です。困った時にさりげなく(ハンカチを出し)手を差し伸べてくれながら、引くときは引く、決して「押し」は強くないのです。

実際、あるサイトでシネマスタイリストのmicさんが、この映画のベンこそが理想の男性と記しています(「映画『マイ・インターン』から学ぶ 頑張り女子が付き合うべき理想の男性像とは」LAURIER)。

書いてるだけで、何故か私が泣けてきた。それくらい、イイ男なのである。部下を多数持つバリキャリ女子にとっては、たとえ可愛くても年下男子を育てる余裕なんてなし(部下を育てるので精一杯)。ベンのように包容力のある男性こそが、心許せる存在となるであろう(同上)。

その通りだと思います。この映画で、デ・ニーロは、マッチョさを皆無にしながら「紳士とは何か」を示しています。

しかし、そのイイ男が70歳の「インターン」であることは、いつまでも紳士でいられるという「夢」を語っているのかもしれませんし、逆に30代、40代男性によっては残酷な現実なのかもしれません。実際は、70歳では「白馬の王子」にはなれないでしょうから、70歳代の方々にもベン=デ・ニーロは遠い存在かもしれません。

敢えてその遠い存在を分析しますと、同映画におけるデ・ニーロの魅力は老いを隠さないということなのかもしれません。若い人と競おうとはしません。同僚の若い男性にも気を遣い、兄のように(映画の中では若い同僚男性に対して「自分は、おじさんになったようだ」と言います)接します。若い男性も若い女性も、包み込んでいくのです。

男も女も包み込む理想像がベンであるとすれば、彼は何を象徴しているのでしょうか(もちろん、この映画1本で米国社会を一般化はできませんが)。

日本人論では、『 「甘え」の構造』(1971年)や『母性社会日本の病理』(1976年)で日本社会は、母性原理を基礎に持っていると指摘されましたが、米国社会は父性原理なのではないかと思いを巡らせました。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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