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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2016年1月 9日 07:13

第66回NHK紅白歌合戦、歴代最低視聴率: 見られても、見られなくても紅白は何かを映し出す

大晦日に放送された「第66回NHK紅白歌合戦」の平均視聴率が、前半34.8%、後半39.2%と公表され、視聴率の記録が残る1962年以降でも歴代最低となりました(スポニチアネックス、1月3日)。参考までに1年前の「第65回NHK紅白歌合戦」の視聴率はと申しますと、前半平均35・1%、後半平均42・2%でした。
なぜ、最低視聴率であったかに関しては、各紙だいたい同じような分析となります。「過去に視聴者にウケた企画を焼き直ししたように見えた」(同上)、マンネリ化(スポーツ報知 、1月3日)、目玉なし(日刊スポーツ、1月3日)、予定調和(スポニチ、1月6日)等です。

フリーライターの武田砂鉄氏は「演出がマンネリ気味」なのではなく「出演者に求めるスタンスがマンネリ気味」だったと論じています(cakes,  1月6日)。

武田氏は、例えば、郷ひろみさんの「2億4千万の瞳」における出演者の「億千万!」の連呼、小林幸子さん、水森かおりさんの豪華衣装、和田アキ子さんの「笑って許して」における他の出演歌手の「アッコ!」の掛け声、初出場の歌手の「我が子・我が孫が紅白に出られるなんて......」と感極まる母や祖母を客席に用意する演出全てをマンネリとした上で、それらを「悪くない」とします(同上)。

そして、同氏は「紅白は、日本最大のマンネリズムの中に参画できる有り難みが折り重なり合うコミュニケーション」(同上)であると定義します。

NHKの籾井勝人会長も「去年の紅白はよかったと思う。非常にバランスが取れ、NHKらしい企画だった」と評価していますが(毎日新聞、1月8日)、私もマンネリだったからこそ、第66回は非常に「紅白らしい」放送になったと感じました。

2015年は若者のテレビ離れが指摘されました。

私自身、2015年10月25日付当ブログにて、テレビの「昭和化」を書きました。テレビは、昭和生まれの人の(特に「思い出」を懐かしむ、「思い出」と今を結び付ける)装置として機能することが多くなっているのです。

黒柳徹子さんの総合司会に、マッチと聖子のトリ、まるでTBS『ザ・ベストテン』を見ているような(私の世代ならば、子供の頃を思い出すような)演出は、間違っていないのかもしれません。

紅白のNHK朝ドラ(NHK連続テレビ小説)依存を批判する声は多いのですが(Business Journal 、1月3日)、2015年のテレビ視聴率のベスト10に『あさが来た』(5位)、『マッサン』(9位)が入り、NHKドラマの稼ぎ頭になっていることから仕方ないのかもしれません(Oricon Style、1月4日)。

ちなみに、誰が朝ドラを見ているのかを調べると、『マッサン』に関しては、午前8時からの本放送で平均10%以上を叩き出しているのは、女性では50~64歳の12.8%、65歳以上の17%であり、男性では65歳以上の15.3%のみでした(スイッチ・メディア・ラボ「MARKETiNG」、2014年12月24日)。

そして、予想通り、今年の紅白も結果的に50代、60代以上女性と60代以上男性が最も熱心な視聴者層となり、朝ドラのコア視聴者層と見事に重なるのです(同上、2016年1月8日)。

2015年のテレビ視聴率の30%台で断トツの1位は、大晦日の12月31日の紅白歌合戦でした。紅白は、(若者のテレビ離れが進む中)テレビを見るコア層を掴んでいるのです。

やはり、紅白は今日の日本を映す鏡のようなものです。40%近くが今も見ているということも、60%以上が見なくなったということも。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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