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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2015年11月

2015年11月30日 01:43

カンボジア訪問記(4):3日目「将来の夢は先生になること」

【11月21日~11月26日まで、神戸ユネスコ協会の理事6名と私の教える学生4名で、「カンボジア国際ボランティア」を企画し、同国の首都プノンペンを訪問致しました。】

3日目

前回記しました通り、神戸ユネスコ協会は2012年にカンボジアに小学校を建設しまして、以後、毎年、1、2回、現地を訪れています。今回、私は理事として初めてカンボジアを訪れました。

カンボジアを訪問する前に、神戸大学大学院で学ぶカンボジア人の留学生に現地情報を伺ったのですが、その若き研究者は、日本人篤志家や諸団体のカンボジア小学校建設に関しましては、「自己満足」の傾向があると厳しいご意見でした。

後に同じような内容を、カンボジア滞在中の現地の大学で教える日本人の教員からも聞くことになりました。

カンボジアは、小学校が足りません。ですから、外国人の小学校建設はウエルカムということですが、建設しただけで終わってしまうケースや、建設後もコミットする場合も、行き易い幹線道路沿いや電気が通っているところ(つまり比較的貧困度が低いところ)に建設するケースが多いようです。

外国人がカンボジアに小学校を造る義務はありませんので、(外国人が小学校を造って放置するのは別として)都合の良い場所に建設するのは仕方ないように思えます。遠隔地は、カンボジア政府が力を入れることで問題を解決すべきなのではないでしょうか。そもそも、それができれば、同国の義務教育問題は生じないと言われてしまうと、話が戻ってしまいますが。

神戸ユネスコ協会が建設しましたストイックアイトロミア小学校は、首都プノンペンから自動車で3時間半の距離にあります。途中から電線もなくなり、「不便」なところにあると言えます。

プノンペンから日帰りできるという点を指摘されてしまえば、その通りですが、建設後の毎年、1,2回通っていることを考えますと、神戸ユネスコの先人たちはかなり頑張ったのではないかと思えました。

神戸ユネスコ協会は、同小学校の校舎建設から始まり、井戸の掘削、サッカーゴール、ブランコ、滑り台の設置、そして、現在、図書館建設を計画しています。

これらの物資面の援助は必要ですが、それが最終目的ではありません。単に寄付するだけではなく、お金がかかっても神戸ユネスコ協会の関係者が現地を訪れ、子供たちと触れ合うことを第一に考えており、交流することが主なのです。

今回の訪問の交流企画の中で、私の学生の1人は子供たちに将来の夢を紙に書いて貰いました。そして、多く子供たちが「先生になりたい」と書いたのです。

一生懸命に勉強して、夢を実現させ多くの子供たちが将来先生となれば、もっと田舎の子供たちに読み書きを教えることができ、貧困の状況は大きく改善します。

私も一応、教えることを仕事としていますので、子供たちの「夢」を重く受け止めました。きっと子供たちの先生は良い先生なのでしょうね。自分自身を顧みて、今後、何か子供たちとできることはないかと考えながら、小学校を後にしました。

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「将来の夢は先生になること」 コンポンチュナン州ロミアス村ストイックアイトロミア小学校

2015年11月29日 13:33

カンボジア訪問記(3):3日目「楽しいことは言葉を越える?」

【11月21日~11月26日まで、神戸ユネスコ協会の理事6名と私の教える学生4名で、「カンボジア国際ボランティア」を企画し、同国の首都プノンペンを訪問致しました。】

3日目

今回のカンボジア訪問のメインイベントは、2012年に神戸ユネスコ協会が同国のコンポンチュナン州ロミアス村の農村地域に建設したストイックアイトロミア小学校(通称「神戸ユネスコ小学校」)を訪問して、ボランティア活動に従事することでした。

朝7時30分にプノンペン市内の宿泊先をチャーターしたマイクロバスで出発し、3時間半幹線道路を抜けて田舎道を辿り、ストイックアイトロミア小学校に到着しました。同校では、6歳から12歳の小学生、約150人が学んでいますが、私たちがバスから下りますと、子供たちが整列しており、拍手で迎えてくれました。

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その後、神戸ユネスコ協会の会長と私が教える学生の挨拶が行われ、次に寄付金を元に現地で購入したノートと鉛筆、滑り台の贈呈式を行いました。

ここからが本番です。今回は、品々のプレゼントだけではなく、子供たちと交流することを目的としました(実は、子供たちはプレセントを貰うのが大好きなのですが)。

同行した私の学生たち4人は全員神戸に学ぶ留学生であり、母語は中国語とモンゴル語と多様です。一緒にカンボジアを訪れた神戸ユネスコ協会の6人の理事は、全員、日本語が母語ですので、誰もクメール語(カンボジア語)ができないので共通言語がありません。

パズル組、サッカー組、折り紙組、風船組等に別れ、子供たちと手振り身振りでコミュニケーションを図りました。

全体として最初は、私たちも子供たちも戸惑っていましたが、時が経つに従い、言葉の壁は不思議に何とかなっていきました。楽しいことに、言葉は要らないのかもしれません。笑い声や歓声が色々なところから聞こえてきました。

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私たちの意図がどこまで通じたか分かりません。私たちが「楽しい」と感じたのと同様に、子供たちも「楽しい」と感じてくれていたら成功なのかもしれません(そう、信じたいものです)。

同校の子供たちは、2か月半前に訪れたネパールの小学校の子供たちと比較しますと、最悪の状況とは言えないと感じました。ネパールでは、地震で校舎が壊れてしまい、仮設テントで学んでいました。

それでも、カンボジアの小学校においてさえ、靴を履いていない子や服がボロボロの子がいました。一方で、学校には子供用の自転車が何台か置いてありましたので(自転車で通学している人がいるのでしょう)、自転車を購入できる程「豊かな」学生もいるのかもしれません。農村部の「貧富の格差」が拡大しているようでした。

私たちと過ごした時間が、色々なことを忘れさせる、そして、様々なことに興味を抱かせる「非日常の時間」になったのなら嬉しいです。

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2015年11月28日 13:20

カンボジア訪問記(2):2日目「ただ、目の前の子どもを応援したい」

11月21日~11月26日まで、神戸ユネスコ協会の理事6名と私の教える学生4名で、「カンボジア国際ボランティア」を企画し、同国の首都プノンペンを訪問致しました。

【2日目】

カンボジアの首都プノンペン訪問の2日目、私たち(神戸ユネスコ協会「カンボジア国際ボランティア」はプノンペン市郊外にあります児童養護施設「夢ホーム」を訪問しました。

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カンボジア・プノンペン市郊外  「夢ホーム」の入り口

「夢ホーム」は、カンボジアの両親のいない(もしくは、両親がいても経済的な理由で子供を育てられない状況の)お子さんのために、日本の特定非営利活動法人「21世のカンボジアを支援する会」が2009年に設立した施設です。現在は、男女9名が暮らしています。

神戸ユネスコ協会は2012年にカンボジアのコンポンチュナン州ロミアス村に小学校を建設したのですが、その際、「21世のカンボジアを支援する会」にお世話になったことから「夢ホーム」との交流も始まりました。

今回、私は初めての訪問でしたが、皆で、些細なプレゼントをした後、男の子とはサッカー、女の子とは折り紙などをして過ごしました。

子供たちの目は輝いており、名前通り「夢」に向かって頑張っていることが分かりました。

設立から6年経ち、この秋に施設を離れ、奨学金を獲得してプノンペンのメコン大学ビジネス日本学科に進学した学生が2人いました。その日は、その2人も駆けつけて下さり、覚えたての日本語で挨拶をしてくれました。

貧困はカンボジアだけの課題ではありません。

2014年7月に発表された「国民生活基礎調査」によると、日本において、所得が国民の「平均値」の半分に満たない所謂「貧困率」は16.3%であり、過去最悪となっています。約6人に1人が「貧困家庭」に育っている現状は、先進国の中で最悪レベルにあると評されています(産経ニュース、2015年5月16日)。

日本の多くの子供が「貧困」状況の中、日本がカンボジアの子供を支援する意味とは何なのでしょうか。

三つ考えられます。

一つには、日本の団体に支援されて育ち、大学で日本語を学び始めた2人のように海外に日本の理解者を増やすことが挙げられます。

次に、貧困家庭の支援は該当国家の国民が主であっても、外国人がしていけないことはないということです。

実は、今回、私が教える4人の中国籍の留学生とカンボジアを訪問しました。彼らは、中国籍ですが、「カンボジア国際ボランティア」に参加して、日本の団体が支援する施設を訪問して援助活動に参加しました。

中国人がカンボジアの貧しい学生を助けても悪いことは一つもありません。もしかしたら、「夢ホーム」の卒業生たちは、将来、日本や中国の貧しい学生を救うような活動をしてくれるかもしれません。

最後に、外国人が援助する姿が、カンボジアの富裕層の自国民救済への呼び水になれば、貧困解決の大きなステップにすることができます。

このように理屈を考えながらも、単に目の前で頑張っている子供たちを応援したいというシンプルな感情が一番強いように思えました。多分それは、彼らの姿を見ていると、私(たち)も何か元気になってくるからかもしれません。

2015年11月27日 13:10

カンボジア訪問記(1):1日目「カンボジア人はなぜ米ドルを使うのか」

11月21日から11月26日まで、神戸ユネスコ協会の「カンボジア国際ボランティア」に参加して、カンボジアの首都プノンペンに滞在しました。神戸ユネスコ協会の理事は、私を含めて6名、青年部の私が教える留学生4名の合計10名での訪問でした。

その目的は後述するとしまして、とりあえず、時系列に気になった点を記させて頂きます。

【1日目】

関西空港発のタイ航空バンコク経由でカンボジアの首都プノンペンに入りました。建設されたばかりの綺麗なプノンペン空港を出まして、チャーターしましたミニバスでホテルに直行しました。

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プノンペン国際空港

途中、現地資本のコンビニ(というかスーパー)に立ち寄りましたが、そこから最終日まで、お金に関しては興味深い現象が続きました。

基本的にカンボジアで使われる紙幣は米国ドルなのです。

リエルという現地通貨はあります。1ドルは既に約4,000リエルの価値があり、10ドルで40,000リエルです。かさばってしまうため、ドルが主流となっており、買い物をしますと、おつりは、1ドル未満に限って、リエルで返してきます。

10,000リエル以上の20,000リエル札、50,000リエル札 100,000リエル札もあるというのですが、私は全く手にすることがなく、1,000リエル、500リエル、100リエル札が主流のように感じました。

つまり、3ドル50セントの買い物をしますと、1ドルと2,000リエルが戻ってきます。ややこしいのですが、実に素早く2つの通貨でおつりが出てくるのです。

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プノンペン市内の日系スーパー「イオンプノンペン店」
USドルでも価格が表示されている

私は欧州に長期滞在してきましたが、米ドル流通圏には住んだことがありませんでした。米ドルが、事実上の通貨として機能している国は他にもあると思いますが、初めての経験に面白さを感じました。

自国通貨として米ドルを使用すれば、当然、米国経済の動向から大きな影響を受ける訳ですが、数か月前、ジンバブエが、事実上価値がなくなった現地通貨を廃止し、3京5000兆ジンバブエ・ドル=1USドルで交換したことに見るように、自国の経済がより不安定な場合は、ドルのほうが安定することになります(Reuters, 2015年6月16日)。

カンボジアの経済は好調です。2011年の実質GDP成長率は7.1%、2012年が7.3%、2013年は7.4%となっています。

それでも、カンボジアがドルを使い続ける理由は、1970年に始まった内戦で通貨制度が廃止されてしまい、その後1980年にリエルを再導入したのですが、国民の支持を得られなかったという歴史的な背景があるとされています(「カンボジアでドルが使われる理由とメリット」『カンボジアの生活情報!』2014年12月4日)。

更に、「価値の低下の恐れのあるリエルでなく、安定したドルでビジネスが出来る」、「リエルなら調達先も限られるが、ドルは世界中から事業資金を調達出来る」という2点からドルを維持していると分析されています(同上)。

言い換えるならば、自国通貨が国民に信用されないというマイナス点を、国際通貨米ドルで補っていることになります。

おつりに関しては、1ドル未満(米セント)を、瞬時にリエルに換算して、リエルで返す訳ですので、最初は、誤魔化しているのではないかと疑ったりしましたが、一度も騙されたことはありませんでした(私の計算が付いていかないので、「騙されたことはなかった」ように思うと表現したほうが正しいかもしれません)。

ということで、奇妙なドルで払い、リエルでお釣りを貰う旅が始まりました。

2015年11月21日 00:19

パリの同時多発テロとロシア機墜落事件:2つのテロがもたらす状況の変化

「イスラム国」(IS)によって犯行声明がなされました11月13日のフランス・パリでの同時多発テロ事件と、10月31日に起ったエジプト・シナイ半島におけるロシアの民間機墜落事件は、国際関係に大きな影響を与えました。

ロシア機墜落に関しては、事件発生当初においてロシアはテロを否定していましたが、11月16日に「イスラム国」の犯行と断定されました(NHK News Web 11月17日)。

この二つのテロによって、シリアにおける利害調整ができなかった欧米先進国とロシアが、現在、「共闘」するようになったのです。

11月17日、フランスとロシアは、シリアの「イスラム国」の拠点を空爆しています。両国はさらなる攻撃強化に向けて連携に動いていると報じられています(ロイター、11月17日)。

この現象は、「イスラム国」のテロが自分の首を絞めてしまったことを意味しています。

シリアにおいて、「イスラム国」が漁夫の利を得てきたのは、アサド大統領の政府軍を支持するロシアと、反体制勢力を支持する欧米先進国が対立してきたからです。

その構造を、2つのテロは壊してしまいました。

確かに、ロシアは名目上、9月から公には「イスラム国」に空爆をしていることになっていました。しかし、欧米先進国はその空爆が、「イスラム国」ではなく、反体制勢力の地域内に限定されていることを疑っていました。

しかし、「イスラム国」が両者にテロを仕掛けたことによって、両者は反テロの名の下で「連帯」できるようになってしまったのです。

だとすれば、それは何を意味するのでしょうか。

仮に、シナイ半島とパリのテロが「イスラム国」が行ったとしても、その実行犯は全く繋がっておらず、更に「イスラム国」の全体の利害をも考えないグループであったことになります。

その延長上に見えるのは、「ホームグローン・テロリスト」なのではないでしょうか。エジプトのテロリストはエジプト国内の利害を優先しており、フランスのテロリストはフランス及び(実行犯には、ベルギーの滞在者も含まれていますので)フランス周辺の利害関係で動いている人たちであるように見えるのです。

それでは、ロシアと欧米先進国の「連帯」によってテロがなくなるのでしょうか。残念ながら、そうとも言えないように思えます。

ロシアや欧米のシリア空爆は「イスラム国」領土内でも「憎しみ」の連鎖を生み出すでしょうし、「イスラム国」は少なからずの欧米の若者が駆けつけて「戦士」となっており、欧米の社会における移民系の諸問題を解決できない限り、「イスラム国」は終わらないでしょう。

ただ、2つのテロが状況を大きく変えてしまったのは確かです。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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