QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2015年3月

2015年3月28日 09:52

「I am Abe」か「I am not Abe」かは重要ではない

久しぶりにテレビ朝日系の『報道ステーション』を見たところ、ゲストの元経済産業省官僚の古賀茂明氏とキャスターの古舘伊知郎氏の間で、古賀氏の番組降板を巡って議論が交わされていました(2015年3月27日)。

番組中、中東情勢を伝える場面で、古舘氏が古賀氏に解説を求めると、(その日が最後の出演らしい)古賀氏が、「ちょっとその話をする前に。テレビ朝日の早河会長と、古舘プロジェクトの佐藤会長の意向で今日が最後ということになりました」と発言し、ご自分が同番組に出られなくなった経緯を説明し始めました。

古賀氏によりますと、過去に同番組に出演した際、古賀氏が「I  am not Abe」と主張したところ、政府からテレビ朝日、同番組に政治的圧力があったということです。

正直、生番組としては、このようなハプニングは「面白い」とも言えます(ちょっと古館氏がプロレスの実況をしていた頃を思い出しました)。

しかしながら、報道番組としては、中東問題や国際情勢の解説で呼ばれたコメンテイターが、貴重な時間を、自分が「降ろされる」、「降ろされない」の「私的」な話をするのは、おかしいとも言えます。

もちろん、政府からテレビ局に圧力があったとすれば(もしくは、テレビ局が自主規制したとすれば)、由々しき問題ですが、そのような政府の「官製御用番組」になってしまえば、番組としての魅力は失われ、誰も見なくなっていくだけであり、古賀氏が心配する必要はないでしょう。

そもそも、日本人は昭和の頃程、テレビに依存する生活を送っていません。また、ネット社会ですので、国家が政治的な発言の自由を規制できる時代でもないのです。世界の状況は、むしろ、反対なのではないでしょうか。独裁国家や規制大国は、「自由」からの攻撃に直面しています。

仮に古賀氏は、二度と同番組に出演しないとしても、他に(政府の影響を受けずに)ご自分の主張を伝える方法は幾らでもあるように思えます。

更に、古賀氏が「I am not Abe」か「I am Abe」に拘る姿勢に、疑問を感じました。

当ブログで記してきました通り、私自身は、安倍政権の男女格差是正政策において、(注文を付けながらも)政府与党を支持しています。しかしながら、学問上の議論を経ていない「積極的平和」を掲げる外交政策は、支持していません。その他、詳細をフォローしておらず、保留中(考え中)の政策もあります。

そのような意味で、私は、「I am  Abe」であり、「I am  not Abe」であり、同時にどちらでもないこともあります。

もちろん、国政選挙にいけば、私はどちらを優先するかを選択しなければなりません。それは、私だけではなく、全ての有権者が同様です。選挙に行けば、当然ですが「I am  Abe」か「I am  not Abe」を決めなくてはならないのです。

敢えて言わせて貰えば、日常の生活において「I am  Abe」か「I am  not Abe」を決めることは重要ではないと思います。

自分自身の「結論」を一時的に保留し、安倍政権の諸政策を客観的に考えることが賢い有権者の態度なのではないでしょうか。

良い報道番組とは何かを考えれば、少なくても、偉い学者や有名なジャーナリスト、(元)エリート官僚が、視聴者に(「I am  Abe」か「I am  not Abe」の)「答え」を与えることではありません。番組として、視聴者に考えるヒントを示すことが最も大切なのです。

(もちろん、古賀氏も理由もなく「I am not Abe」と言っている訳ではなく、根拠も提示されていますが、「I am not Abe」を強調し過ぎており、残念ながら、「論」が霞んでしまっています)。

「答え」は最後(選挙)で良いのです。そもそも、人間は、それぞれが「政治的存在」なのです。だからこそ、時には自分にレッテルを貼らずに(レッテルを外し)、考えていきましょう。


2015年3月25日 00:18

ユージさんの家庭像が、かっこよく輝くことの意味

タレントのユージさんの記事「突然、小学生の息子ができた! ユージが明かした「理想の家族像」」(「withnews」 3月10日)を読んで、非常にさわやかな気分になりました。

27歳のユージさんは、昨年、小学生のお子さんがいる女性と結婚し、さらに赤ちゃんを授かり2児の父親になりました。ユージさんと奥様の出会いは、3年前、行きつけの飲食店だったそうです。

一目ぼれして、猛アタックした後、その女性が離婚しており、息子さんが1人いること、更に、自分より7歳年上ということが判ったそうです。交際・結婚に際して、ユージさんは「僕は彼女が好きだからいい。悩んだのは、息子がどう思うか」ということだったと語られています(同上)。

ユージさん自身、5歳の時、御両親が離婚されており、息子さんの気持ちが分かるそうです。ただ、ユージさんは、子供の頃、お母様の会社の同僚の男性が良く遊んでくれたことに感謝しており、父親ではなくてもいいから、「心の隙間を埋めるお兄さん」になれれば良いと言われます(同上)。

ポイントとしては、「心の隙間を埋めるお兄さん」は、「うざいくらいちょっかい」を出すことだと主張されています。

それは、息子さんに対してだけではなく、家にいるときは、赤ちゃんのミルクやおむつ替え、入浴、寝かしつけ、掃除、ゴミ捨てなど、全て担当するそうです。

ユージさんは「できますよ。だって、僕が仕事の時は全部妻がやる。僕の方が体力あるのにできないなんてありえないでしょう」と言い切ります(同上)。

この記事が、とてもさわやかなのは、負の連鎖ではなく、大変な子供の頃の素敵な思い出をユージさんが、人生の重要な決断をする際の指針としていることなのでしょう。

ユージさんは、当たり前のことを言われているのかもしれません。男性の家庭進出が日常化している欧米人の男性ならば、驚くことではないでしょう。

しかし、2014年版「ジェンダー・ギャップ指数」(世界経済フォーラム)の国別ランキングにおいて、世界104位である「男女格差大国」日本では、ユージさんの言葉は、非常に輝いてしまいます。

ただ、同時に、日本社会も変化の途上であるようにも思われます。上記の記事の反応(書き込み)として、「やべえ、めちゃくちゃかっこええ」、「(^ρ^)こりゃファンになるわー」、「こういう男像って理想じゃん」等の言葉がありました(もちろん、ある種のフィルターはあるかもしれません)。

ただ、彼の言葉が「かっこよく」響く事実を、日本社会の変化の「兆し」として大切にしたいところです。

2015年3月23日 00:46

再発見される「故郷」:映画『ディス・イズ・ホエア・アイ・リーブ・ユー』にみる都会者の視点

室生犀星が「ふるさとは遠きにありて思ふもの」と唱えていますが、家族の死は、(田舎出身の)都会人の「故郷」との距離を一気に縮めることがあります。

『ディス・イズ・ホエア・アイ・リーブ・ユー』
制作国 米国
制作年 2014年
監督    ショーン・レヴィ
出演    ジェイソン・ベイトマン

あらすじ
【ニューヨークのラジオ局で働くジャッドは、妻の誕生日のためにケーキを買って帰宅したところ、自分の上司と妻の浮気現場に遭遇してしまう。離婚をするかどうか悩んでいたところ、父が亡くなったという知らせが届き、失意の中、帰省する。彼の3人のユダヤ系米国人の兄妹たちと共に、生まれ育った故郷に戻ると、ユダヤ教のシヴァ(喪の期間)を行うことが遺言であると知らされる。兄弟はそれぞれのパートナーと関係が上手くいっておらず、兄弟で時に喧嘩し、時に慰め合いながら、家族の修復を図ろうとする。そんな時、ジェッドは、地元で暮らす高校時代の友人のペニーに再会し、恋に落ちる。】

ワーナーブラザーズ配給で、2014年9月に米国で公開された「ホームカミング」ものです。ワーナーは、同じ月に「ホームカミング」映画『ジャッジ 裁かれる判事』を公開していますので、同社は「ホームカミング」ものに需要がある(社会を反映している)と認識しているのかもしれません。

裁判ものであるある映画『ジャッジ』と比較すれば、本作品のほうが、ホームカミング色、より正確には家族色が強く出ているかもしれません。

彼らは、父親の死を知って(『ジャッジ 裁かれる判事』は母親でした)、葬式に一同揃います。ユダヤ教徒としては、世俗化している彼らでしたが、そこで、母親が「シヴァ(喪の期間)」を強制的に行い、7日間喪に服すのです。

そこで、喧嘩したり、仲直りしながら、家族の「絆」を再確認します。そして、妻との離婚を決意していた主人公ジャッドは、地元に留まった幼馴染と恋に落ち、精神的にも「故郷」に帰るのです。

このような「ホームカミング」ものを観ますと、これらは誰のために作られているのかを考えざるを得ません。

米国も、立身出世を果たすためには大都会に出なければなりません。田舎出身ならば、故郷に見切りをつけ、進学、就職と共に新しい社会空間を見つけ(選択し)、生きていくのです。

都会の生活に疲れた40代、故郷の「良さ」を再確認したくなるものです。親、兄弟との和解、そして、自分を待ってかのような幼馴染(もしくは後輩)の美しい女性の登場、全て出来過ぎているようにも思えます。

言い換えれば、理想化された「故郷」は、ある意味で、逆「竜宮城」のようなものです。思い出は、時計の針を戻してもくれます。

以前、紹介しました『8月の家族たち』(当ブログ、2014年5月 7日)は、観ていて辛いのですが、ある意味でリアリティがあり、本作品は観賞後の「爽やかさ」が、むしろ、玉手箱のようにも思えてきます。

やはり、「ホームカミング」ものは、(かつて脱田舎に成功した)都会者の視点なのではないでしょうか。


2015年3月22日 00:00

世代を越えた「ドラえもん」: 再構築システムの確立

先日、「ドラえもん」が大幅リニューアルしてから今年で10周年となったというニュースを読み、驚きました(「Oricon  Style」、2015年2月22日)。

ドラえもんの声が(大山のぶ代さんから水田わさびさんに)最近、変わったと思っていたのに、もう10年とは、早いものです。

私は大山のぶ代さんの「旧・ドラえもん」世代ですので、自分の子供が生まれ「ドラえもん」に再会した時、正直、声優や制作陣が一新されたことに戸惑いました。

しかしながら、私の子供の世代は、「ニュー・ドラえもん」で育っているため、昔のDVDを見るとむしろ違和感を覚えるようです。

そのような「違い」がありながらも、「ドラえもん」という日本を代表するアニメキャラクターの世代継承は大成功を収めたと言えます。初代の声優陣は、アニメ「ドラえもん」を体現していただけに、さぞかし大変だったと思われます。

例えとして適切ではないかもしれませんが、伊勢神宮が20年に一度、全ての社殿を造り替えて神座を遷すように、伝統を次世代に伝えるには、一度壊し、造り直さなければならないのでしょう。

しかしながら、造り変えるシステムが構築されていない、初代から第二代へのバトンタッチはさぞかし困難でしょう。そのような意味において、この10年間、「ドラえもん」が再構築のシステムを確立できたことは非常に大きいように思えます。

昨年1月、「サザエさん」の磯野波平の声を担当された永井一郎氏が82歳で亡くなりました。永井さんの死去は、少なからずの日本国民にとって「波平の死」として受け止められたのではないでしょうか。毎週、日曜日の夕飯時に、何十年も耳にしていた声が、ある時から聞こえなくなることは、想像以上に私たち視聴者にショックを与えることのように感じます。

それは、大変不幸で、残念なことでしたが、磯野波平のような存在は(永井さんの功績を讃え、永井さんが創り上げてきた歴史を継承するためにも)、もう二度と死んではいけないように思うのです。

人には寿命があります。ですから、定期的に一斉に造り直さなければいけないのでしょう。

「ドラえもん」は、海を渡り、アジアを中心に世界の子供たちのヒーローになっています。各地での継承は、それぞれの方法があると思われますが、とりあえず、「母国」日本で、世代を越える継承が可能となったことは嬉しいことです。

未来から来た「ドラえもん」には、時空を乗り越えて、元気に存在し続けて欲しいと願います。

2015年3月21日 06:32

チュニジアは、行ってはいけない場所だったのか?

3月18日、チュニジアの首都チュニスの国立バルドー博物館でテロ事件が起こり、日本人3人を含む23人が犠牲になりました(ロイター、3月19日)。実行犯の2人は、チュニジアのイスラム過激派組織「アンサール・シャリア」のメンバーだと言われています。

この事件を受け、元防災相の鴻池祥肇参院議員が、「『絶対に行ったらいかんよ』と言われる所は行かんことだ」と発言したと報じられています(朝日新聞、2015年3月19日)。

自民党派閥の会合での発言内容ということで、この一言だけでは全体像が掴めませんが、被害者に対して向けられた言葉と理解されています。しかし、チュニジアのチュニスは、事件発生時の外務省の渡航情報では、4段階のうち最も危険度が低い「十分注意」に過ぎませんでした(同上)。

今日の段階で同ランクを探しますと、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ロシア等がありました(外務省「海外安全ホームページ」)。

(注意が要らない国もありますので)「注意が必要」だったのは確かですが、「絶対に行ったらいかんよ」(渡航を延期して下さい)という地域ではありませんでした。

この場合、被害者の落ち度はゼロと言って問題はないでしょう。

まず、第一に、このような卑劣な行為を行ったテロリスト組織を批判しなければなりません。次に、外務省の「十分注意(すれば行ってもよい)」の判断が、結果として間違っていたということが責められるでしょう。

しかし、外務省を擁護する訳ではありませんが、予測の限界もあるようにも思えます(ロンドンの大英博物館やニューヨークのメトロポリタン美術館が100%安全だとは言い切れません)。

被害者に対しまして、政治家の言葉としまして、(百歩譲って)最後の最後に「外務省が『十分注意』すれば行っても良いと言っても、状況が目まぐるしく変化していますから、これ以上、犠牲者がでないようにするためにも、皆さん海外に行かれる際は、気を付けましょう」ならば、許されたかもしれません。

ただ、私は後藤さんや湯川さんの事件でも「自己責任論」に対して同様に感じたのですが、たとえ、2人のように日本人が「渡航延期」勧告国家に入り、拘束されても、第一に悪いのはテロリストなのです(もちろん、「渡航延期」勧告国家の場合、仕事で行くことと、観光で行くことでは、社会性は異なってきますが)。

随分前ですが(2001年6月)、沖縄にて、深夜に20代の日本人女性が米国兵に暴行された事件がありました。その際、当時、外務大臣でした田中真紀子氏が、被害者が夜遅くまで米兵がたむろするバーで飲酒していたことを非難したことがありました。

日本の政治家を選んでいるのは日本国民なのですが、時々、日本の政治家(それも大臣級)が、誰の味方なのか分からなくなることがあります。

 1  |  2  |  3  | All 次へ >>

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
カンボジア (27)
スイス (25)
スポーツと社会 (110)
ネパール (15)
国際事情(欧州を除く) (217)
大震災/原発事故と日本 (28)
御挨拶 (13)
日本政治 (115)
日本社会 (250)
映画で観る世界と社会 (260)
欧州事情 (89)
留学生日記 (59)
英国 (80)

ページトップへ

カレンダー
<< 2017年05月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
最新記事
「若さ」を求め「老い」を狼狽える: 映画『サンセット大通り』に描かれる単線的な悲劇
マンチェスター・テロ事件を考える: 英国生まれの容疑者の「英国性」を直視しなければいけない
女優誕生の形式(パターン)と芸能界: 映画『イヴの総て』における重層の「踏み台」
なぜ、マクロン大統領と大統領夫人の年齢差は許容されるのか?
北朝鮮問題において危機感がないのは誰なのか?
最新コメント
Buy gemstfone bbrace...
Posted by luxury bracelet for women
Buy gemstfone bbrace...
Posted by luxury bracelet for women
Buy gemstfone bbrace...
Posted by luxury bracelet for women
Buy gemstone bracele...
Posted by natural stone bracelet
はじめまして、書き込...
Posted by たか
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草