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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2012年11月27日 00:00

浅田真央選手と『メリー・ポピンズ』と『文部科学時報』

フィギュアスケートの浅田真央選手が先週末、宮城県利府町で開催されましたNHK杯で優勝しました。

このところ非常に好調な浅田選手ですが、今シーズンのエキシビションの演目『メリー・ポピンズ』がとても素敵なのです。

個人的なことで恐縮ですが、私は2009年の夏、毎日、東京の国会図書館と所属する大学図書館に籠り論文執筆に取り組んでいました。その論文は、どうしても夏中に仕上げなくてはならなく、追い込まれていました。追い込まれていると、人間逃げたくなるものです(私だけかもしれませんが)。

大学図書館では毎日同じ場所に陣取りました。なぜか、毎日来る人は同じ机を利用するようになります。私の場所に到達する前に、雑誌棚があり、そこに文部科学省発行の『文部科学時報』という硬派そうな雑誌がありました。

文科省のホームページによりますと、同誌は「約90年にわたって文部科学行政における重要施策の動向と取組を一般国民の皆さまにお伝えする、文部科学省が直接編集する省としての唯一の総合広報誌」とのことです。

同誌の2009年8月の表紙が浅田選手でした。『文部科学時報』という雑誌はそれまで一度も読んだことがありませんでしたが、浅田選手は子犬を片手に、にこやかに微笑んでいました。

私は、毎日、逃げたくなる思いを抱きながら、大学図書館に入るのですが、『文部科学時報』の浅田選手の笑顔が目に入り、「よし、頑張ろう」と思ったものです。

なぜか、この号だけ『文部科学時報』という表紙のタイトルまでピンクでした。おそらく、この月は、文科省が大変重要なことを国民の皆さまにお伝えする必要があったのでしょう。浅田選手の起用は目を引くという点において成功です。しかしながら、ページを捲りますと表紙の浅田選手が隠れてしまうという構造上の欠陥がありました。

私は『文部科学時報』のお蔭で厳しい夏を乗り越えられました。しかし、浅田選手は半年後のバンクーバー五輪で2位に留まり、周知の通り、韓国のキム・ヨナ選手が金メダリストとなりました(『文部科学時報』も2012年3月号で休刊となり、web版の『文部科学広報』に模様替えしています)。

2012年8月22日の当ブログでも言及しました通り、私は、常に社会貢献に励んでおられ、現役選手ながらユニセフ親善大使をされているキム・ヨナ選手を尊敬しています。ただ、キム・ヨナ選手の活躍は、一流のスポーツ選手は、時に社会的活動も含めて、総合評価されることも現しているように思えます。

文部科学省、いかがでしょうか。『文部科学時報』に満足せず、浅田選手をユニセフ親善大使やユネスコ親善大使に推してみては(ユニセフやユネスコの親善大使は文科省の推薦で就任する訳ではありませんが、日本ユニセフ協会、日本ユネスコ協会への働きかけはできるのではないでしょうか)。

『メリー・ポピンズ』となった浅田選手は、キム・ヨナ選手の後追いではなく、浅田選手のオリジナリティで世界中の子供たちを元気づけることができることと信じます。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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