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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2012年4月25日 21:06

「iPad革命」(1):オムツをしながらコンピュータを操る時代

このところ、国際機関の会議でも「iPad」等のタブレット型コンピュータを持ち込む参加者が目立つようになりました。非常に軽いので、長距離の出張にも「ハンディー」なのです。

技術面においてアップル社の「iPad」が如何に優れているかは私の専門ではないのですが、「iPad」の受容のされ方、拡散の仕方が面白い方向に進んでいるように思えます。

先日、ある国際会議のために最新の「iPad」を携えてヨーロッパに来た40歳代の米国人男性と話をしたのですが、彼は「「iPad」は便利なんだけど、自宅では3歳の子供に奪われてしまうんだ」と言うのです。

過去2回「ソニー」について採り上げ、このところソニー製品を買っていると書きました私ですが、実は、昨年以来「iPad2」のユーザーでもあります。そして、我が家でも、もう少しで2歳になる長男が「iPad」の子供用のアプリに異常な反応を示し、 暇さえあれば「iPad」を独占しようとするのです。

このような現象は、米国では既に2010年4月、「iPad」が販売されると日常的に見聞きされているようです。タブレット型のコンピュータは画面をなぞるだけで使えるため、米国では「2歳の子供でも、画面上のお絵かきやピアノの演奏を楽しんでいる」(読売新聞、2010年5月28日)のです。

米国の非営利団体「コモン・センス・メディア」が2011年6月に0歳から8歳の子供を持つ1,384人の親を対象に調査したところ、米国の2歳から4歳の39%、5歳から8歳の52%が「iPad」や「スマートフォーン」等のタブレット型コンピュータを使ったことがあるとされます。同調査によれば、何と1歳以下の赤ちゃんでさえ、10%も使ったことがあるというのです(A Common Sense Media Research Study, "Zero to Eight: Children's Media Use in America", 2011年10月25日)。

 「百聞は一見に如かず」です。動画投稿サイト「You Tube」に「iPad and baby」と打ち込んでみて下さい。世界中の何組ものパパとママが、自分の子供が「iPad」を自由に動かせることを驚き、「我が子は天才かもしれない」とその姿を録画して投稿しています。残念ながら、我が家も含めて、子供が天才なのではなく、これらの動画は、親と子のコンピュータに関する世代間ギャップを描き出しているだけなのです。

そもそも、パソコンは「パーソナルなコンピュータ」の略でした。「パーソナル」ですから、1人、1台がコンセプトの基本でしょう。しかし、それでも、文字を操れない子供は対象外であったと思います。それが、今、タブレットに代わり、本当に1人に1台が必要になっているのです。

【ちょっと年上ですが、米国では2011年のクリスマスプレゼントに買って欲しいと思う消費者向け電子機器は何かという問いに対して、6~12歳の子どもの44%が「iPad」が欲しいと答えています(前年の31%から13ポイント増加)(日本経済新聞、2011年11月18日)。】

当然、子供たちが「iPad」に没頭する状況を危惧する声もありますが、事実として「iPad」は新しい市場を開拓しつつあるようです。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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