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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2012年2月19日 20:47

バレンタインデーの日本学(1)

先週の2月14日(火)、私は午後、新宿を歩いて初めて今日がバレンタインデーであることに気付きました。その日は朝からテレビも見ておらず、忘れていました。

そのような感じでしたので、当然、チョコをいただくこともありませんでしたが、スイスでは私が家族にお花やスイーツを購入していましたので、散財しないバレンタインデーでした。

日本のバレンタインデーは、節分の豆撒きよりも興味深いイベントです。なぜかと申しますと、一見、外国風のイベントながら、それが非常に日本風だからです。

ヨーロッパでは女性だけがチョコを(好きな、もしくは義理のある)男性に贈るという習慣はありません。これは、日本で生まれ、日本で発展したのです。

もちろん、バレンタインデーの起源は3世紀頃のローマのキリスト教聖職者ウァレンティヌスに求めることができ、概して欧米のキリスト教(カトリック、プロテスタント)圏に共通するイベントです。

ただ、日本との違いは、女性から男性からプレゼントを贈るものではなく、どちらから贈っても許されるものであり、また品物はチョコとは限らず、花やカード、その他のスィート類でもOKです。

逆に、日本のバレンタインデーの特徴とは以下の三点が挙げられます(小笠原祐子『OL たちの〈レジスタンス〉』中央公論社、1998年、94頁)。
(1)贈答品としてはチョコレートに執着
(2)女性から男性への一方通行的贈答
(3)職場でのさかんな贈答行為(いわゆる義理チョコ)

この日本型バレンタインデーがいつから始まったかについては諸説があります。

一般に言われているように、不二家、森永製菓、芥川製菓、メリーチョコレートカムパニー、モロゾフ等のチョコレート会社がこのイベントを仕掛けていたのは事実です。

具体的にはモロゾフが1936年に日本の英字新聞に広告を掲載し、不二家が1956 年、デパートでバレンタインデー用ギフトを販売し、メリーチョコレートカムパニーは1958 年からバレンタインデーのセールに取り組み、特に女性から男性に贈るキャンペーンを行っています。森永製菓は、日本で最初にバレンタインデーを商業ベースで大々的に宣伝し、1960 年以降『女性自身』等に広告を出しています。芥川製菓は、1968 年から 1969 年頃、ハート型の箱に入ったチョコレートを女性の顧客向けに販売し始めています(同上、96-101頁)。

しかし、これらのチョコ会社のキャンペーンは即、今日の日本型バレンタインデーを作り出しませんでした(山田晴通 「「バレンタイン・チョコレート」はどこからきたのか(1)」『東京経済大学人文自然科学論集』124、2007年)。

チョコレート会社のキャンペーンと実際に多くの人々がバレンタインデーを認識し、チョコを贈るようになるまでタイムラグがあるのです。

このタイムラグをどのように認識すべきかについては、次回考えたいと思います。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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