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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2011年9月21日 00:00

ジュネーブの休日

9月8日(木曜日)はスイスのジュネーブ州の断食祭で祝日でした。

断食祭とは中世以降の伝統行事であり、病死、戦死、災害等での事故死をされた人々へ祈りを捧げるため断食する(していた)イベントです。

興味深いのは、スイスの他の州では9月の第三日曜日に催されるのに対して、ジュネーブ州は9月の最初の日曜日の翌週の木曜日に行われるのです。つまり、同じスイスにもかかわらず、今年の9月8日はジュネーブ州ではお休みですが、他の州は平日なのです。これは、ジュネーブ州が特別な訳ではなく、スイスでは祝日は州(カントン)が決定できるため、断食祭ではジュネーブに独自色が出ていますが、それぞれの祭日においてその州だけが休日というケースがあります。

大げさに言いますと、スイスでは住民の時間をコントロールするのは国家ではなく、州なのです。

ちなみに9月8日、私は(スイス人と日本人の交流会であります)日瑞協会スイスロマンド支部主催の日帰り旅行に参加しまして、ジュネーブ州の隣のその隣のカントンでありますヌーシャンテール州を訪れました。ヌーシャンテール州はもちろん平日ですので、レストランもカフェも開いていました(ジュネーブでは基本的に休日はお店もお休みです)。

日本では鳩山政権時、国土交通大臣の前原誠司氏の下、休暇分散化ワーキングチーム(座長=辻元清美国交副大臣)が発足し、ゴールデンウィーク地域別分割案が議論されていましたが、結局どうなったのでしょうか。

ご家族で、異なる地域に跨って生活(通勤通学)している場合は困る等、批判がありましたが、スイスでは特に混乱はないようです。

ただ、単にゴールデンウィークを分散させるというのはどうなのでしょうか。日本における休暇分散化の推進理由は、主に混在を緩和させ、更に経済効果が見込まれるというものでしたが、それは合理的なようで、とても味気ないように思えます。

【国交省観光庁の第1回 休暇分散化ワーキングチーム議事録の資料では、休暇分散化の効果について「旅行料金の低廉化」、「渋滞の緩和」、「環境負荷の軽減」、「観光地の雇用の安定」、「観光地におけるサービスの向上」が挙げられています(http://www.mlit.go.jp/common/000059742.pdf)】。

ジュネーブ州が9月の最初の日曜日の次の木曜日を祝日するのはプロテスタントが多かったジュネーブ州の人々がカトリック色の濃い他の州と一緒ではなく、独自に祝いたいと希望から始まっているのです。もちろん、今は、宗教色は殆どありませんが、独自の休日(時間のコントロール)の維持には、今でもカントンを一義的に考える地方主義(ある種のナショナリズム)がジュネーブ州に少なからずあるのは確かなようです。

日本でも各地方には独自のお祭りやイベントがあります。その前後を休日にして、連休にするのはいかがでしょうか。全てとは言わなくとも、各都道府県が決められる休日が年間何日かあっても良いと思います。もちろん、首都圏は同じ日にして混乱を避ける必要があるかもしれませんが。

各方面において地方分権が主張されから久しくなりますが、まず地方に時間を返すのはいかがでしょうか。

この記事へのコメント

1. Posted by Anonymous 2011年9月25日 11:21

 「地方に時間を返す」という発想はユニークです。地方色にあふれた祭典(地域の休日)を地元のひとたちとともに祝い楽しむ習慣は日本の暮らしの彩りをいっそうきわだたせる効果がありそうですね。年中、日本のどこかでお祭りさわぎが進行中、なんて想像しただけでも楽しくなりませんか。

2. Posted by 迂叟 2011年9月25日 11:29

 「地方に時間を返す」という発想はユニークです。地方色にあふれた祭典(地域の休日)を地元のひとたちとともに祝い楽しむ習慣は日本の暮らしの彩りをいっそうきわだたせる効果がありそうですね。年中、日本のどこかでお祭りさわぎが進行中、なんて想像しただけでも楽しくなりませんか。(どうしたわけか、名前が間違えてアップされたのであらためて「正しい」名前で投稿します)

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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