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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年4月13日 02:01

プロ野球とストレス

プロ野球シーズンとなりました。

阪神タイガースファンの私としては、「今年こそ」と力が入ります。

3月、4月は教育関係者にとっては年度末と新年度となり、ストレスの多い時期です。やはり、スポーツ(私の場合は野球)は、ストレス解消になります。阪神の試合は、正直申しまして、残念ながらストレスが溜まることも少なくないのですが。

それでも、やはり、「選ばれた」プロ野球選手は、私たちができない夢を叶えてくれる素晴らしい存在だと思います。

昨年、上西小百合衆議院議員が埼玉スタジアムで行われたサッカー国際親善試合でドルトムントに逆転負けした浦和レッズに対して「他人に自分の人生乗っけてんじゃねえよ」とツイッターで批判したことがバッシングを受けました(当ブログでも、2017年7月19日付で言及しています)。

やっぱり、4月になるとプロスポーツは「ファンの夢(人生)」を乗っけて成立していることを改めて実感します。

しかしながら、そんなプロスポーツ選手も(プロスポーツ選手だからこそ)過度なストレスを受けているのでしょう。

先日、ソフトバンクの川崎宗則選手が同球団から自由契約されたというニュースが入ってきました。

川崎選手はソフトバンク球団を通じ「昨年の夏場以降からリハビリを続けてきましたが、同時に自律神経の病気にもなり体を動かすのを拒絶するようになってしまいました。このような状態で野球を続けるのは、今の自分には考えられません。ホークス球団と協議して自由契約という形で、野球から距離をおいてみようと決断しました」とコメントしています(スポーツ報知, 2018年3月27日)。

なぜ、川崎選手が自律神経の病気にかかってしまったのかは分かりませんが、人一倍明るいキャラクターで日米のファンの心を鷲掴みにしてきた川崎選手が、過度なストレスを感じていたとすれば考えるところが少なくありません。

一方で、川崎選手が自由契約を選んだのは、「引退」ではなく「復帰」するためだという見解もあります。

スポーツジャーナリストの生島淳氏は、川崎選手は「球界への復帰を諦めていない」のではないかと語っています(福井新聞online, 3月27日)。また、スポーツライターの田尻耕太郎氏も「彼は復帰を目指し、ランニングなどのトレーニングをすでに再開している」と報じています(Yahooニュース, 3月26日)、

そして、ソフトバンクの三笠杉彦取締役球団統括本部長も「自由契約は本人からの希望で、その意向を尊重した。あれくらいの選手だから、今後に向けての話し合いは続けていきたいし、サポートできることがあればサポートしていきたい」と話しています(Full-Count, 3月26日)。

川崎選手だからこそ、是非、「復帰」して欲しいものです。ストレスを解消して、元気を頂いた野球ファンは、きっと応援すると思います。

2018年4月12日 13:01

観光地はお姫様の物語を求めている?: 映画『ローマの休日』で再プロデュースされたローマ

ローマを訪れると気分は「オードリー・ヘプバーン」という方もおられるでしょう。観光地が外国人(よそ者にとって)訪れるべき「場」となるには、そこに惹きつける大きな物語が必要なのかもしれません。

『ローマの休日』(原題 Roman Holiday)

制作国 米国
制作年 1953年
監督 ウィリアム・ワイラー
出演 オードリー・ヘプバーン、グレゴリー・ペック、エディ・アルバート
受賞 アカデミー最優秀主演女優賞(オードリー・ヘプバーン)

あらすじ
【1950年代のローマ。伝統ある某国の王女アンは、欧州諸国を歴訪中、最後の訪問国イタリアのローマでストレスから市内に「お忍び」で抜け出してしまう。直前に医者に睡眠薬を処方されていた王女は町を探索するまでもなく路傍のベンチで寝てしまう。そこに米国人ジャーナリストのジョー・ブラッドレーが通りかかり、王女を「酔っ払っている」町の娘だと勘違いする。タクシーで送り届けようとするが、運転手に拒否され、彼の部屋で休ませることになる。翌日、ジョーは、出社すると王女が「病気」であることが写真付で報じられており、彼女の素性を知ることになる。ジョーは、王女の独占インタビューをものにしようとローマ観光に連れ出すことにする。しかしながら、時間を共有する中で、2人は共に相手に対する特別な感情が芽生えてくる。】

早稲田大学エクステンションセンターの「映画からみるヨーロッパ」という講座で、本作品を取り上げるため観直しました。

実は、2015年1月14日付の当ブログにて本作品を論じているのですが、私はその後、ローマを訪れています(ローマについては2017年1月 4日付で言及)。4,5回目のローマでしたが、その時もローマは観光客で溢れていました。

ただ、改めてこの映画を観ると欧米から(日本から)の観光客は、この映画『ローマの休日』を観たことがある、もしくは「知っている」人が少なくないように思えます。

何よりもローマの人々が(特に観光に携わる人は)、この『ローマの休日』を意識していることでしょう。

「スペイン広場」、「コロッセオ」、「サンタンジェロ城」、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会にある「真実の口」、全て古い観光スポットですが、同時に1953年の米国映画である『ローマの休日』によって世界的に再プロデュースされているのです。

言い換えれば、この映画に映し出されるローマは、米国人からみたローマのステレオタイプでもあります。

もっとも、観客側がこの映画を観なければ(話題にならなければ)、観光スポットも再認識されないでしょう。ウィンウィンの関係でもあります。

そう考えますと、観光地には、このような「物語」が求められているということになるのかもしれません。

2018年4月11日 11:23

レスリング女子におけるパワハラ問題を考える

連日、報道されていますレスリング女子でオリンピック4連覇をした伊調馨選手への栄和人・日本レスリング協会選手強化本部長のパワハラ問題が一応の決着をみせました。

4月6日、同協会は三者委員会に調査を依頼し、伊調本人、栄氏らを含む19人からヒアリングを実施した結果、パワハラがあったことを認めました(日刊スポーツ,4月7日)。

パワハラに認定されたのは以下、4項目。
<1>平成22年2月にNTCで、伊調に対し「よく俺の前でレスリングができるな」、などと言ったこと。
<2>平成22年9月の世界選手権で、田南部力コーチに「伊調の指導をするな」と言ったこと。
<3>平成22年、9月の世界選手権および11月のアジア大会の選手選考について、露骨な伊調外しを行ったこと。
<4>平成27年2月、NTCで田南部コーチに「目障りだ。出て行け」などと罵倒したことです(同上)。

これに対し、ネットを中心に「やっぱりパワハラはあったのか」という声がある一方、同情論もあります。

拓殖大学レスリング部監督の須藤元気氏は、4月9日放送のテレビ番組『羽鳥慎一モーニングショー』に出演し、以下のようにように主張されています。

「パワハラの定義が、一般社会と格闘技・レスリングとを同じにしてしまうと、温度差が必ず出ますね。どうしても(厳しさが)必ず出ます。『バカヤロー』と言ったら一般社会ではパワハラになるけど、『バカヤロー』とか『よく俺の前で練習できるな』とかはあるわけです。叱咤激励みたいな」

須藤氏は認定されたパワハラ4つのうち上記<3>を除いた3つは栄監督がかわいそうだと語っています(J-Cast, 4月9日)。

最初に申し上げますと、アウトはアウトということです。その上で、言葉のパワハラは受け手側次第であるのも事実で、須藤氏の御主張も一理あるように感じます。

関西の先生は、自分の学生が失敗した時に、「アホやな」などと普通に言います。それは、全てではないとしても、多くの場合、学生を馬鹿にしているのではなく、愛すべき存在として捉え、「今度は頑張れよ」というようなニュアンスも含んだ表現でもあります。

ただ、同じ「アホ」でも、受け手が侮辱されたと感じれば、パワハラになってしまうでしょう。

パワーとは「権力」であり、パワハラにおいても、まず、「権力とは何か」を定義する必要があります。

権力の定義は論者によって様々ですが、主要なところを繋ぎ合わせれば、権力とは「自己の意思を他人の行動に対して押し付ける可能性」(マックス・ウェーバー『支配の社会学』)であり、権力者になり得る者が、権力資源を投入する意志があり、権力を受け入れる者によってそれが認識されて初めて「権力化」されると言われます(ハロルド・ラスウェル『権力と人間』)。更に、重要なことは、権力による「支配」の構造は、「支配者」と「被支配者」の相互作用(ゲオルク・ジンメル『社会分化論社会学』)であるということです。

つまり、権力のハラスメント(パワハラ)とは、相互作用のバランスが崩れている状態を指すことになります。

結局、(明らかに法に触れるようなケースが無いならば)栄氏にパワハラがあったかどうかは、伊調選手がどう感じたかになってしまうのではないでしょうか。

2018年4月 4日 09:40

男女(は別)論はどこまで当てはまるのか? : 映画『恋と愛の測り方』の様々な測り方

心と体は別なのでしょうか。

『恋と愛の測り方』(原題 Last Night)
制作国 米国
制作年 2010年
監督 マッシー・タジェディン
出演 キーラ・ナイトレイ, サム・ワーシントン

あらすじ
【ニューヨーク在住のマイケルとジョアンナは、結婚3年目。マイケルは不動産関係、ジョアンナはファッション誌の記事を書くフリーライターで2人ともキャリア志向。そのような中、夫婦で行ったパーティで、ジョアンナはマイケルが同僚の女性ローラと浮気しているのではないかと疑い始める。直後にマイケルはローラと共に遠方に出張に行くことになり、マイケルとジョアンナは言い争ってしまう。出張中、マイケルは逆にローラを意識するようになり、ジョアンナもマイケルが不在中にフランス人の元彼で作家のアレックスと再会し、意気投合することになる。2人はそれぞれ別のパートナーと1日を過ごし、異なる選択をした後に自宅に帰っていく。】

この作品は、結婚3年のジョアンナとマイケルの「時間」(愛の安定)とジョアンナとフランス人の元彼アレックスと「瞬間」(恋のときめき)が主題になるのでしょうが、付き合って4年目、結婚3年のジョアンナとマイケルの「時間」があまり描けていません。

それに加え、夫マイケルがあまり「良い男」ではないように感じます。

反対に、妻ジョアンナは、一線を越えず、元彼であるアレックスを振ってしまうのですが、どう考えても、フランス人作家のアレックスのほうが夫マイケルよりも男として魅力的なのです。

もし、妻ジョアンナがアレックスを振る理由が、夫マイケルとの共有された「時間」であるならば、まず、その重要性を描かないと説得力がないように考えます。

しかしながら、妻ジョアンナは元カレと「浮気」したという解釈もあります。

あるブログでは、『男は「体」で、女は「心」で浮気する』という説でこの映画を切っていました。そう考えると、妻ジョアンナも夫マイケルも「浮気」したことになり、フランス人作家のアレックスだけが「浮気」していないことになります。

面白い見方ですけれど、非常にアンフェアです。マイケルは「男」なので「浮気」したことになります。しかし、男女平等とし、「心」の規準で考えれば、「浮気」した後、良心の呵責に苦しみ自宅に飛んで帰る夫マイケルは「心」は「浮気」していないことになり、そして、ジョアンナとアレックスは一線を越えていないにもかかわらず、「浮気」したことになります。

もし、本作が「浮気」とは何かを再考することを目的としているとすれば、成功しているのかもしれませんが、簡単に男女論にしていいのでしょうか。

2018年4月 3日 21:29

日本も大学・大学院のパートタイム化を促進すべきなのでは

先日、日本私立学校振興・共済事業団が、私立大・短大など計914校を運営する全国662法人の2017年度における経営状況を調査し、103法人(15.6%)が「経営困難な状態」であるという結論を出しました(読売Online, 3月30日)。

なぜ経営が悪化しているかといえば、その原因として定員割れが挙げられています。私学は、運営費の9割を授業料で賄っているケースが多く、入学者が定員を下回れば、簡単に赤字に陥ってしまいます。そして、近年、入学定員充足率 100%未満の大学の割合が増加しています (文部科学省『私立大学の経営状況について(概要)』2015年10月1日)。

このような状況の中で大学が生き残りを図るとすれば、少子化によって減少する【日本の】18歳人口に依存しない経営を考えなくてはいけないことになります(【日本の】と入れましたのは、世界的な海外留学のブームの中で、日本に来る留学生も増加していく傾向があるからですが、留学生論はまた別の機会に論じたいと思います)。

前回、早稲田大学エクステンションセンターの例をご紹介しましたが、日本人に限定すれば、各大学は「学び続ける」機会を提供すべきであると考えます。それは、教養を中心とする生涯教育のみならず、欧米の大学のように大学、大学院のパートタイム化を早急に整備すべきです。

例えば、2009年において米国の大学・大学院生の総数はフルタイムが12,723,000人なのですが、パートタイムを含むと20,428,000人に膨れ上がります。英国は2009年において、フルタイムの大学・大学院生数は1,739,000人に対し、パートタイムを含めると2,659,300人となります(文部科学省『教育指標の国際比較』平成25年版、20-21頁)。

ロシアでも学部・大学院のパートタイム化が進んでいます。2010年においてフルタイムの学部生数は3,074,000人に対して、パートタイムの学生も合わると7,207,000人にも至ります(同上、23頁)。

当ブログでは、何回か言及してきましたが、日本も、就職か進学かではなく、早く、他の先進国並みに、就職しても、退職しても、大学で学び続けることができる体制を整えないといけないと痛感します。

それは、少子化問題に直面している日本の経営上の一つの「答え」にもなるでしょうし、日本全体の教育力のアップにもなると考えます。また、何よりも学び続ける、知り続けることは何らかの「幸せ」に通じる道であるのではないでしょうか。

おそらくそのためには、文科省と大学と(パートタイム学生を認める)企業を主体とした受け入れ側の意識改革と、パートタイムで学ぼうとする学生/社会人側の意欲が、同等に必要であると思われます。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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