
2010年2月 5日 08:08
出張が増えると体重増加が怖い鈴木有香です。2月の予定は新潟場所、山口場所、神戸場所、そして名古屋場所と巡業が続きます。私は日本語では全くバイリンガルではなく、東京標準の言葉しか使えませんが、地方へいくたび、アクセントやイントネーションの違い、語彙の違い、微妙な文法の違いに興味をもってしまうのは、昔学んだ社会言語学やバイリンガル教育の影響かもしれません。
吉本芸人の影響で、ある種の関西弁はメディアによく登場するのですが、いざ私が真似してみても、ネイティブの耳はごまかせません。まあ、そうですよね。一般に外国語を学んでネイティブ通りに話せるのは9歳から14歳くらいまでにその言語の音を十分に聞いて、微妙な音の区別ができないと、発音ができないのです。かつて米国の国務長官をしていたヘンリー・キッシンジャーも、14歳の頃に米国に移民して来たので、最後まで彼の英語には微妙な外国語アクセントが残っていたそうです。だけど、発音に癖があるからと言って、言葉が通じないわけではありません。
しかし、単語が全く異なったり、その話される状況がわからなければ、日本語だって全くわからないのも現実です。
状況:高校生の息子が部活を追えて、18時半に帰宅した。
母「け」
息子「く」
さて、何と言っているでしょうか?
翻訳すると、
母「食べる?」
息子「食べる。」
ということであると言うのを秋田県や青森県出身者の人に教わりました。
まさに、省略の美学です。俳句を超える短さです。
主語も目的語もなく、動詞だけで会話が成立する日本語ですが、さらに動詞が1つのひらがなに置き換えられることが、驚きです。東北恐るべしです。
こうした短い会話が成立する条件は会話する当事者が「言語情報」以外のものをたくさん共有していることです。母は「息子が部活をして、だいたいこの時間にお腹を空かせて帰ってくる」という情報がわかっており、息子も「家で、夕食の準備をするのは母である。」
ということがわかっているからなんですね。少なくとも、会話の当事者同士にとって、5W1H的な事実はかなり明白であるのです。
もし、話されている状況や人間関係がわからず、第三者的に会話を聞いていたら、次の会話ではどんなイメージを皆様は持たれるでしょうか。
男の声「(はぁはぁ)、いける?」
女の声「(はぁはぁ)、うん、もう少し。」
―間―
男の声「大丈夫?」
女の声「(はぁはぁ・・・んー)、まだ、まだ。」
―間―
男の声「後、少しだね。」
女の声「そう・・・、そこ、そこ!」
男の声「やったね!! 二人でゴールに向かおう!」
<作者の解説>
マラソン大会に参加したカップルがゴール直前2分間に語った会話です。
結局、会話している当事者と共有する情報や状況が少ないと、多くの人は勝手にイメージしてしまいがちです。だから、調停する人、ミディエーターとか本当に難しい仕事だと思います。