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チェンジ ザ コミュニケーション ~多様性を楽しむコンフリクト・マネジメント

2009年10月

2009年10月31日 07:03

第36回 私の社会科見学

 一般庶民の子どもに生まれ、執事や召使や婆やに囲まれたお嬢様ではない鈴木有香です。それを確実に実感したのはとある接待場面での出来事でした。

 男性が多い業界団体の研修会で講師をやったりすると、懇親会という形で様々な場所にいく機会に恵まれます。つまり、女性同士では絶対行かない場所です。これは、ある意味でとても面白いことで、私にとってはかなり社会科見学的な要素があります。

 4年くらい前でしょうか? 初めてホステスさんのいるバーとかクラブという類のお店にいったのは・・・。

 以下書くことは私の中の「女性」という目と社会科学を研究する好奇心の目からの感想で、私を温かく接待してくださった方々にクレームをいう意図は全くないことをあらかじめ申し添えておきます。

 私は人にご奉仕された経験がないので、細かいサービスをされるとドギマギしてしまう庶民体質であることが分かりました。
 ホステスさんは自分の関われない内容の会話になると、静かに傾聴姿勢をとりながら、細部で自分のできるサービスをしました。

 ①テーブルの人全員のお手拭を4つ折の正方形に整えた。
 ②飲み物が6割程度減ると、すぐに新しい物を作る
 ③コップに水滴がつくと、すぐにそれをぬぐう。


「その分、お金を払っているんだから・・・」と男性は言うのですが、お嬢様体質ではないので、人にそこまでされると緊張してしまう自分がいました。(多分、お蝶夫人、篤姫、白洲正子さんなどは気にしないでしょう。)
さらに、こうした細かいサービスを女性から受けている男性は、一般的な場面で、ホステスでない女性にどのくらいの細やかさを要求するのだろうと思ってしまいました。

 次に非常に感覚的なところをご紹介しますが、これは男性読者が同じような感覚を想像しやすいように、性別を入れ替えて書きます。もし、あなたが男性ならこういう状況を想像してください。


1)自分より顔もスタイルもいい男性が盛装で目の前にいる。
2)その男性に笑顔でお酒をついでもらったり、オシボリをもらったりする。
3)その男性がお客である男性の口をナプキンで拭いてあげたり、テーブルの汚れを速やかに拭いている。
4)女性5名がその場所にあなたを連れて行き、一緒のテーブルにいます。

 居心地どうですか??

私の場合、女性ホステスのいるお店へ連れて行ってもらった女性という立場なのですが、微妙な気分でした。

 実際、夜のお仕事の女性はどんなことをするのだろうという好奇心やお店のシステムへの興味はあるので、社会科見学、フィールド・ワーク的に見ていると、「ドレスの胸の谷間にライターをいれておくというのは視覚的にもいいサービスなのだろう。」と思いつつ、「こういう綺麗なお姉さんと私の容姿を比較しないでね。みなさん。」と心の中で言っていました。

 また、こういう場で、非公式に行われる会話でビジネス上の関係が深まったり、ノウハウの伝授が男性間では伝統的にあるのだろうけど、そういう場に入れない女性はある種の貴重な情報から疎外される可能性もあるなと思いました。

様々な職業に女性が進出していくと、こうした非公式な場面の情報共有がどのように変わっていくのだろうと、社会科学の徒としては興味のあるところです。

コミュニケーション場面や状況の多様性を考えさせてもらえた点で、業界団体の皆様には本当に感謝しております。 今度はどなたか銀座の一流クラブに連れて行ってください。さらなるリサーチができそうです。

 

 

2009年10月24日 00:43

第36回 美形男子の笑顔の効果

ボーイズ・ラブのイントロとなる初期の少女マンガを読破し、ヒュー・グラントのデビュー作になる「モーリス」、ルパート・エヴェレットに歓喜した「アナザーカントリー」など英国パブリックスクール寄宿舎生活の映画にはまっていましたから、面食い度は半端ではないことを自覚している鈴木有香です。

「じゃあ、性格は?」と言われると、だいたい映画や小説の美少年、美青年は性格がいいのですが、現実はそうでもないらしいです。

実は「もしかして?」と感じたのはNYの大学院で出会ったポール君。彼はブロンドの巻き毛に青い瞳という基本をはずさず、身長183cm(米国だと長身ではない)、しかもプロテインを飲みつつ、ワークは欠かさず、そこそこの筋肉質にサーフィンが得意で、しかも笑顔が愛くるしい奴です。日本ではモデルをやっていたことが自慢。ところが、日本人妻とうまくいかず、別居と言う形で当時、大学院に来ていて、図書館で私に「日本人でしょ?おにぎり食べない?」と言って誘ってきた奴です。

まあ、同じクラスを取っていたこともあり、勉強を助け合い、かつ大食いな二人はバディーという感じで遊び仲間もかねていました。それで、ある日、ポール君が「ユカ、映画見に行こう、割引券あるから?」と言うので、行きました、映画に!!

そして、入場係の黒人女性に呼び止められました。「これ、有効期限切れていますよ。」と。すると、ポール君、満面の笑顔で、「えー、僕、知らなかった。本当に知らなかったんだ。」そして変化自在の表情で「お願い、何とかならないかな?僕たち、とっても楽しみにしていたんだ。」と入場係のお姉さんの瞳に訴えかけます。そしたら、お姉さんも「しょうがないわね。」という顔で、私たちの入場を許可してくれました。

「ほうら、大丈夫だっただろ。」とポールは私にウィンクして言いました。

「うぁー、こいつ、自分が可愛いキャラであるのをわかって、やっているな。それに、もしかして、ハンサムな男の笑顔は人種を超えた武器??」と心の中で思った私。

多分、自分の愛くるしさ、他人から好意を得ることを自然体で知っていて、利用してしまうのでしょうが・・。ビーチ沿いの素敵なアパートを借りられたのも、ベビーシッターさんのベビーシッター以上のサポートなどを今でも得ているようです。

彼曰く、2度目の離婚で「自分は利用された・・・」と私に愚痴を言ったけど、あくまで、明るく、どこか前向きで憎めない奴です。

ただ、若さと美貌でやりたいことをやってきた時代が終わっても、ポールは自分が子ども好きということを最大限に活かして、今でもまじめにハワイで小学校の先生をしています。しかも、現在2度目の離婚をして、軽度の学習障害のある息子を抱えて、必死にシングルファザーをやっています。子どもに対しての誠実で親身な態度は昔のままです。駄々をこねる息子を叱りつけ、9時に一緒に就寝する姿を見て、子どもは大人を成長させる大きな武器だと思いました。

2009年10月17日 01:39

第35回 限界を知る重要性

最初に、ビール、チューハイで、2,3杯やったあと、日本酒を5合以上飲むと、その後の記憶を失ってしまうことを最近学習した鈴木有香です。この失敗、夏に1回やったのです。その時は飲んだ量を覚えていなかったのですが、今回同じことが起こって、記憶を辿るとどうも5合は飲んでいたことが確認できました。

日本酒、それは私にとって初めて口に入れたアルコールだと思います。飲んだきっかけは、祖父の晩酌でした。
まだ、私が3歳くらいのころ、祖父は毎晩、熱燗を飲んでいました。小さいお猪口に口をつけ、瞳を閉じ、頬を緩めつつ、飲んでいる表情は子供心に「とにかくおいしいものを飲んでいるんだ。」と思わせるのには十分でした。

当時、昼の12時頃に「ロンパールーム」という幼児番組があって、その時間内に出演者の子どもがおやつを食べるシーンがあり、かならずコーヒーカップから何かを飲んでいました。それがとてもおいしそうに見えていたのですが、祖父の晩酌もその延長で見ていたように思います。

「ロンパールームはテレビだから味見はできない。しかし、今、そこにあるじいちゃんのお猪口を取ることはできる。」ということで、私は飲みました。

 ベトリとするような甘さと何かツーンとする感覚。
 「悪くはないな!」と思っているところに。
「あれ、まあ、有香がお酒を飲んでいるよ!」と祖母か叔母に言われたように思います。

「大丈夫?」と聞かれて、特になんの変化も感じなかった私は「うん、おいしかった。」と返事をしたと思います。その後が我が家族の文化のようなところですが、叱るのではなく。

「そりゃすごい!」というほめ言葉。
「飲めることはいいことだ!」という価値観をそのまま子どもにも適用です。

まあ、その後、祖母といっしょに養命酒を飲んだり、赤玉ポートワインを飲んだり、晩酌する祖父も「ちょっと、飲むか?」みたいに、お酒をなめさせてもらう機会に恵まれ、梅酒に至っては小さいコップ1杯くらいまでは飲ませてくれたと思います。

それで、私が小学校に上がる前に築かれた常識は「法律ではいけないらしいけど、
子どもは大人の前ならお酒を飲んでいい。みんなも家庭では飲んでいるんだ。」というものでした。

ところが、中学生くらいになってから、どうも一般の家庭ではそんなに自由に子どもにお酒は飲ませていないらしいことを知りました。だから、不良と呼ばれていた人たちにとって、お酒を飲むことやタバコを吸うことが一つの反抗的行動になるわけなのですが、私にとってお酒は家族と一緒に飲むものというイメージがずっとありました。問題点と言えば、自分の限界の酒量について無意識だったということです。

そして、自分の限界に無意識だったために、今年、周囲の人に迷惑をかけた場面が2,3ありました。この場を借りて謝罪させていただきます。
「本当に申し訳ありませんでした、今後は自分の限界を意識して取り組みますので、お許しください。」

2009年10月10日 01:51

第34回 鶏たわけクンの謝罪行為

札幌で毎年ジンギスカンを食べさせてもらうのが、楽しみな鈴木有香です。が、今回は海のミルク羅臼の牡蠣を堪能してきました。そして、いつもながらの懇親会でのお馬鹿な会話。しかし、私も自分の言行に対しての責任感が薄く、去年、鶏たわけクン(ニックネームの由来は『古事記』参照のこと)を、言語的暴力でボコボコにしていたそうです。(私はすっかり忘れていました!!)

鶏たわけクン(アラサー)がお酒を飲むと話がどんどんあちらの方向に進みます。いわゆる本人の身体、性的な話題で、若気のいたりどころか、「ふーん、男性の生態はそのようなものか??」と私にとっては未知すぎる話です。


それを「なんて、素直で自己開示ができる青年だ。」と評価する先輩方(40代、50代)が温かく見守りつつ、ADR(裁判外紛争解決制度)の研修会の運営に参加させています。

酒の席で先輩と後輩があらゆる話題を大笑いしながら明るく話せる場というのは今や日本のコミュニケーションと人間関係の絆作りにとって、非常に重要な場であるという点はリサーチを通じて、重々認識をしているというのが、私の立ち位置です。

ただ、私が困ってしまったのは鶏たわけクンのエッチな話。小説家の山田詠美が、男女の性にかかわる場面を文学か単なるエロ小説にするかの違いは「体液」、「液体」を感じさせないことだというようなことを言っていたと思いますが、鶏たわけクンの話は、ときどき、私が生理的に受け付けられないレベルの話に持っていくので、「お前、最低だ!」「よるな!」「汚らわしい!」などの罵詈雑言を酒の席とはいえ、発していた私です。

すると、今年の鶏たわけクンは、ややトーンダウンしつつ、私のお弁当の世話、ディナーの準備を甲斐甲斐しくやってくれました。たとえば、私が「ジンギスカン」と叫ぶと、翌朝、ジンギスカン店の切抜きを8枚持ってきて、「どの店がいいですか。」とリクエストを聞きにきて、私の選んだお店に連れていってくれました。さらに、店を出るときは、私のコートをとり、西洋人の男性のように着せてくれるというご奉仕ぶりです。

日本語の「すみません。」という謝罪表現は、それを言った後、謝罪行為をすることは保証していません。だから、「謝ったからいいだろう。」的に話を終わらせようとする人も多いのですが、鶏たわけクンは1年前の行為について、正式な謝罪はないけれど、私が快適に過ごせるよういろいろな行動をとってくれました。言葉だけで終わらせる人より、その後の行動で示してくれる人のほうがはるかに誠意があると評価するのが私の視点です。

そして、大笑いしながらも、さり気ない目配せと自分たちの行動を示しながら、後進を育成しようとする会の年長者たちの大きな包容力と温かさを北海道で見せてもらいました。

2009年10月 3日 00:43

第33回 触れて、感じて・・・

そこには私たち以外、誰もいなかった。

 

音質のいいスピーカーから静かなジャズが流れている。

リビングの御簾(みす)の奥には質のよい革張りのマットレスが用意されており、しばしの語らいの後、そこに横たわった。

すると、彼の温かく大きな手が緊張の解けない私の身体の一部に優しく触れ、「さあ、深く吸って」と、優しい日差しのような声で私に深呼吸を促した。

 

そんな状態でプチ・ギックリ腰のために整体に通っている鈴木有香です。

 

NLPのワークショップで出会った美丈夫マサさんは整体師。剣道、合気道で鍛えたまっすぐ背筋と飄々とした笑顔で、もう少し色が黒かったらハンサムな坂本竜馬風にも見えます。そんなマサさんの情報収集の方法は私と全く異なっています。

 

片足研究者の私はどうしても、情報や細かい意味を言語で理解しようとしてしまいますが、マサさんは手で私が感じられない情報をゲットします。

 

彼は患者の身体に触れながら、緊張の度合いを測り、筋肉のコリの核に気がつきます。しかも、彼の目は微妙な筋肉の動きを見逃しません。言語で何も語られなくても、ちょっとした微笑、肩の上げ下げ、姿勢の変化を素早く察知して、人の心の変化を読み取ります。

 

傾聴だとか言うけど、人を理解することは決して言葉だけではないのです。NLPのワークをやっている時、私は自分の未来のイメージが語れず、不安で苦しくなっていたとき、マサさんは私の首筋に手を当て、ゆっくりと「深呼吸して、思いっきり息を吐き出して」と指示をして、マッサージをしてくれました。そして、頃合を見計らって、私の口からイメージを引き出してくれました。

 

言語だけの限界をマサさんは軽々と乗り越え、私の身体の状態に合わせて、私から言語を引き出したのです。当事者の活動を円滑にするという意味ではこれもまた、一つの素晴らしいファシリテーションだったのです。

 

今、私はミディエーション(第三者介入、調停)のトレーニングを数多くやっておりますが、多くは言語コミュニケーションにかかわることを限られた時間にやっているというのが事実です。しかしながら、言語以外に身体からの様々なサインを読み取り、それを含めた上で相手を感じ、理解するという部分についてはあまり紹介していません。それは、私自身がまだ身体を読み取る能力が高くないという事実でもあります。

 

マサさんは言語の応酬は得意ではないようですが、彼は身体を分析する目を持ち、触れることから多くの情報を引き出す能力を持っています。

 

通常、学校の成績では、言語操作や言語の理解だけしか評価されませんが、コミュニケーション能力を評価するとき、触覚や視覚などの五感の鋭さは重要な要素です。しかし、それらについては多くはまだ語られていないし、トレーニング方法もあまり普及していないようにみえるのが残念であり、また私の今後の課題でもあります。

 

ところで、最初の一段落目はみなさんの五感のどれを刺激したでしょうか?どなたか具体的なフィードバックをしていただけると嬉しいです!!

プロフィール
ニックネームさん
鈴木有香(ゆかぴー)
早稲田大学紛争交渉研究所客員研究員、桜美林大学・亜細亜大学非常勤講師。コロンビア大学にて修士号取得。米国諸大学講師を経て現職。一部上場企業(外資系含)でリーダーシップ研修等担当。 著書に「交渉とミディエーション」(三修社)など。早稲田総研インターナショナル「コンフリクト・マネジメント」講師。詳細:http://www.quonb.jp/service/management/index.html
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