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チェンジ ザ コミュニケーション ~多様性を楽しむコンフリクト・マネジメント

2009年4月

2009年4月26日 11:03

第10回 私の中の偏見

ステキな声に弱いと告白してしまった鈴木有香ですが、電話と声に関する思い出がよみがえってきました。

それはニューヨークで暮らしていた頃の話です。大学院に通う私は貧乏な苦学生、家でやっていることは論文を読むか書いているか寝ているだけでした。そんなときです。某電話会社からの電話がかかってきたのは。アメリカではいくつかの電話会社が様々なサービスのディスカウント合戦をやっていたので、電話でプロモーションの電話が来て、それで気に入れば同意するとそのまま、住所と電話番号の確認で電話会社を切り替えることができました。

しかし、ニューヨーク、ただのプロモーション電話ではありませんでした。私が退屈しのぎに、プロモーション電話をしてきたほうに、なんかつっこみをいれていたのです。例えば、「1日何件に電話するんですか?こういう仕事、めんどくさくないですか?」みたいに。すると、相手も乗ってきて、「いやー、僕としては大いなる目標をを達成するための手段なんですけど・・」みたいなトークになっていました。で、まあ、会話が面白かったので、サービスを切り替えたわけです。

そして、3時間後、買い物から帰ると留守番電話に「ハロー、ユカ、さっきのプロモーションのアーニーだけど、僕たちの住んでいるところ、かなり近いから、今度食事でもしない??」というメッセージです。軽く、ナンパでした。

彼の声はきれいな標準英語で深みのあるいい声です。  でもな・・・

そこでルームメイトのエレン(ニューハンプシャー出身の知的な女優志望の人)に留守電をきいてもらって、「どう?声と発音からどんな人だと思う?」とたずねると、「うーん、比較的教育はありそう、人種はわからない」とのこと。「とにかく、会ってみるなら、絶対人が大勢いるところにしなさい。」というアドバイスにしたがって会いました。 110丁目のレストランの前で、日も暮れた頃。

すると、5メートルくらい先から大きな目玉だけが私のほうに向かってくるのです。その目玉が近づくとドレッドヘアーのアーニーが登場しました。きれいなコーヒー色の肌は闇の中では見えなかったのです。しかも、身長が197cm。でかい!! こわい!! と一瞬思ってしまった私です。

でも、そこで私は自分が勝手にアーニーを白人と決め付けていたことに気がつきました。白人なら「こわい」と思うのだろうか、と考えたとき、自分の中の人種偏見に気がつきました。

黒人の彼が場と相手に応じて話し方を使い分けていることを後で知りました。ちなみにアーニーの業界では "very"はFから始まる4文字言葉です。アーニーはあのバークリー音楽院を出たジャズ・ミュージシャンで時々、ブルーノートでも演奏していました。つまり売れないアーティストのバイトがプロモーション電話だったのです。女優志望者のルームメイトにミュージシャンの友達、ニューヨークは不思議な出会いのある町でした。

2009年4月23日 01:01

緊急広告 増補版 『人と組織を強くする交渉力』

ちょっと、私事の宣伝をさせていただく鈴木有香です。

オバマ大統領の登場ということもあり、時代の変化が激しい昨今、去年出した本が増補改訂版としてリニューアル登場します。

旧題 『コンフリクト・マネジメント入門』(自由国民社) 

       ↓

『人と組織を強くする交渉力:コンフリクト・マネジメントの実践トレーニング』 
(自由国民社)

 主な内容は変更がないのですが、最後にコンフリクトの視点から、オバマ大統領の演説を分析したものが掲載されています。オバマのスピーチはコンフリクト・マネジメント、ADRの基本的視座満載ですよー。

 すでに「コンフリクト・マネジメント入門」を購入してくださった方は増補した後ろのところだけお立ち読みしてください。

まだ、ご購入いただいていない方、「増補版」を楽しんでください。本当にコンフリクト分析の視点などは日常のどんなところでも応用できますから・・・・

2009年4月19日 10:56

第9回 携帯メールを学ぶ

 新しい技術革新を拒みながら生活をしていましたが、ついに携帯メールを打てるようになったローテクの鈴木有香です。きっかけは、愛情です。現在、私を愛し、献身的に尽くしてくれるお千代(仮名)が年末に大掃除を手伝ってくれながら、新しい薄紫の携帯電話を買うように勧めてくれ、簡単な操作を教えてくれました。その後、私の動機の維持のため、まめにメールをくれる方々が数名いたので、現在も続いているわけです。

確かに、手軽にあいている時間にメールを打って、連絡し合えるし、パソコンよりははるかに軽いし、慣れればブラインド・タッチをしている人もいるので、かなり便利なコミュニケーション・ツールのようにも思えます。行間のニュアンスは絵文字やデコメールで補う工夫もあります。アニメ文化の浸透なのか、絵文字などの視覚的効果の機能はかなり進んでいるんだなーと思います。

 だけど、このコミュニケーション、かなり高度な文章力が必要になるなとも思います。通常、面と向かっている相手なら表情、身振り、手振り、声の抑揚、振るえ、姿勢などの言語以外のものがコミュニケーションを支えています。「愛している」の一言でも、その真剣度は目線、身体距離、声などの異なりで意味が変わってきます。しかし、メールにはそうした表現ツールが全て削除され、本当に言語そのものだけになります。また、相手の表情や間合いなどを受け止めて、その場で瞬間的にコミュニケーションを調節することができません。一方、メールだからこそ、瞬時の応対ではないので、ゆっくり考えて表現を練れるという利点もあります。

 それで結論はというと、人それぞれなのでしょうが、私はビジネス関係の事務連絡はメールは便利だと思います。ただし、私がブラインド・タッチできるのはパソコンですが、記録として前に語ったことも残るし、日付もはっきりするので、何かのときの証拠にもなるからです。また、書く作業の過程で自分の論旨も整理されたりするからです。特に、外国語でのコミュニケーションは文字が残って、確認したり、単語を調べられるので助かります。また、時差に関係なく自分の都合のいい時間に読んだり、書いたりできます。

 ただ、うーん、複雑な内容、感情が絡む問題、相手との新密度を高めたい場合は、対面コミュニケーションのほうが円滑にいくように思います。最近、演劇関係者などと一緒にワークショップをやったりするのですが、何をどのようにやるかなどは直接あって、ジェスチャーを入れながら意見交換をしたほうが話は進みます。また、恋愛なんかだと、結局、話すだけの関係じゃなくなり、それ以上に進みたい場合は完全に非言語コミュニケーションの領域になりますよね。因みに、私は胸がキュンとくる声というのがいくつかあって、顔が見えない場合は、声で惚れてしまうというお手軽な人間です。

最後に電話通信事業者にお願いです。電話料金を欧米並みに安くしてください。外国で現地価格で携帯電話が使えるSIMカードが使えるようにしてください!!

 

2009年4月13日 00:00

第8回 合コン・マネジメント入門

婚活に励む30代(みかけ20代)の友人に誘われ「合コン」といわれるものに参加してみた鈴木有香です。といっても、こういうのには「照れる」性格なので、つい合コンを60回以上こなしている一回り年下の友人に合コンというものについてのレクチャーを受けてから参加しました。(やはり、年齢と経験値、能力は関係ありませんね。)

すると、すると、交渉学のように深いストラテジーがそこにありました。まず、大ゴールとしては「パートナーになるべき人を見つけよう」とか、「異性の友人を増やしたい」などがあると思いますが、1回の合コンの段階を踏まえてみると、そのステップごとに具体的な目標があることがわかります。

とりあえず、初対面の男女が出会い、その集いをスタートするにあたる環境設定の段階の目的は「男女間のスムーズな会話を形成する」ということになります。リラックスし、オープンなコミュニケーションを始める「場の雰囲気づくり」です。拙著『「人と組織を強くする交渉力」(自由国民社版)と合わせて読んでいかれると分かりやすいかもしれません。

では、「男女間のスムーズな会話」を醸成するにはまずは、席順です。基本は隣と対面の人を異性にし、会話をする相手が異性になるように仕向けます。つづいて、コース料理ではなく、メニューから選ぶようにすることで、食べ物を選ぶというトピックで隣の人と必然的に会話をする機会を作ります。とりあえず、飲み物を注文する段階では、ここは日本社会ではまだまだ、男性幹事側がとりまとめるほうがスムーズに運ぶとのことです。乾杯ができるまでを迅速に行い、乾杯後から自己紹介に入ります。ここも日本の従来の慣行に従い、男性側から始めるほうがスムーズに運ぶとのことです。

さて、自己紹介は第一印象と今後の会話運びを決める重要な瞬間です。やはり目的は「異性間の会話チャンスを増やす」を遂行するためには、手短かにかつ、聞いている人の参加を促すのがコツです。「名前」を言い、「今回のメンバーとのつながり」を軽く説明します。人間関係重視の日本では相手と相手がどういう関係であるかと知ることが最初の安心感につながります。心理学用語ではラボールの形成でしょうか。そして、「後は質問してください。」と相手側に振ります。

女性陣から質問がなければ、男性メンバーの協力を得ましょう。彼の情報を知っている男性が彼の特徴となるパーソナル情報を手短に質問します。例えば「趣味は?」、「衝動買いして後悔したものは?」という感じにします。すでに席順は男女交互になっていますから、こうした質問に応答することは全員を会話に巻き込む効果があります。いったん、きれいな自己紹介のパターンが決まれば、その形式が引き継がれ、全員が会話に参加できる雰囲気が醸成されていくわけです。

さらに、自己紹介の聞き手はこのとき、相手のパーソナルな情報のキーワードを覚え、自己紹介後の会話のネタを収集します。このようにして、初対面の男女が相互に自由な会話を運べる土台を作るというわけです。

いかがでしょうか。目的を達成するためには、「何をすべきか」という具体的な行動を列挙し、その理由、意義を明らかにしておく、まるで行動計画(アクション・プラン)を書く姿勢と共通していませんか?ビジネス上のコミュニケーションだけが交渉学ではなく、日常のやりとりを分析的に考えていくことも交渉の達人への一歩なのかもしれません。

では、みなさまの楽しい出会いをお祈りしています。

2009年4月 6日 00:24

第7回 関西遠征記‐会話を楽しむ人々‐

「沈黙は金」と言ったのは誰や?と反論したくなるほど関西文化を堪能中の鈴木有香です。実はこのところ、毎週神戸、大阪に研修に訪れています。しかも、宴会つきで!!

研修後の参加者との懇親会は私とアシスタントをのぞけば、全員地元の人です。関東者の私たちからその様子を眺めると、まあ、よくしゃべる、しゃべる、しゃべる。

基本的特徴を列挙すると、1)声が大きい、2)絶対ジョークが入っている、3)会話に間ができることを恐れている、4)テンションが高い、5)7-8人以上でも全員がその話題に参加している場面がかなりある。などなどです。これはあくまで、外部者の東京者からの視点。因みに外部者が観察する視点をeticといいます。(そこの大学院生メモしてね!)

一番印象的なのは会話の全員参加と間を空けない努力というところなんですが、これを大阪出身者に話すと、「そうやねん。間を恐れるねん。」と同意してくれた後、「でもなあ、よーく見ると、その会話の中に役割があるねん。」と言いました。「会話の中の役割」これは外部者の私がすぐには気がつかなかった集団内の人の視点(ちなみにemicです。)を教えてくれました。

思い出せば、大阪S市のJCの花見の席では司会者らしき場の盛り上げ役のMさんがテンション高く話し出すと、イケメン理事長が必ずそれと反対のコメントのような形でつっこみをいれ、Mさんのコメントを落としていくというパターンがいくつかありました。そして、それに対して2,3人がちゃちゃをいれていきます。神戸でも浅田真央に似た中年男性のMさんがいったん参加者メンバーの会話が途切れそうになると、かならず次の話題を提供したり、発言をしない人に対して目配せをしたり、あえて質問をして、その人を会話に参加させていました。

これって、「協同学習理論」の会話の役割分担という手法がそのまんま使われているんですよ。アカデミックなことをしなくても機能的な会話運びを体得している関西人!!

 

すげぇー!!

 

結局、話し方とかコミュニケーションとか教えることより、人々の生活の中に会話を楽しむ場面があり、仲間や家族や友人たちとの絆の中から自然に身に付けられれば一番いいんですよ。問題は、そうした人間の絆が失われ、人々が蛸壺化してしまうことです。

東京のIT業界では隣の人への会話もEメールを使うという話を最近,ひんぱんに聞きます。ファミレスで家族そろっているのに、子どもはゲームボーイ、親は携帯をいじって会話をしていない場面もよく見ます。機械とのコミュニケーションの前に、もっと原点にある人と人のコミュニケーションを大切にしていきたいものだと思いました。

プロフィール
ニックネームさん
鈴木有香(ゆかぴー)
早稲田大学紛争交渉研究所客員研究員、桜美林大学・亜細亜大学非常勤講師。コロンビア大学にて修士号取得。米国諸大学講師を経て現職。一部上場企業(外資系含)でリーダーシップ研修等担当。 著書に「交渉とミディエーション」(三修社)など。早稲田総研インターナショナル「コンフリクト・マネジメント」講師。詳細:http://www.quonb.jp/service/management/index.html
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